賢い“予算案” 第2話:“未来”の損益計算書
「前例」という壁に、一度はね返されてしまった佐藤。
しかし、彼女には、あの賢いアシスタントがついています。
この状況を、解決する糸口はあるのでしょうか。
佐藤が、予算を削減するために、どの機能を諦めるべきか、苦渋の決断を迫られていた、その時だった。
彼女のPCに、『ワンチーム』から通知が届いた。
『インサイト:申請中のプロジェクト予算案について。
現在の仮承認額では、計画された仕様に対してリソースが著しく不足しており、75%の確率でプロジェクトの遅延、または品質の大幅な低下が予測されます』
その通知には、続きがあった。
『対策案として「データ駆動型・予算要求レポート」を生成しますか?
社内外の類似プロジェクト実績データを元に、客観的な投資対効果を算出します』
佐藤が「はい」を選択すると、すぐに新しい予算案が生成された。
それは、単なる要求リストではなかった。「未来の損益計算書」とでも言うべき、二つの未来予測だった。
【シナリオA:標準予算(現行案)で進めた場合】
・開発期間:3ヶ月遅延
・実装機能:計画の70%
・リリース後のバグ発生率:28%
・3年後の予想収益:6,000万円
【シナリオB:最適予算(申請案)で進めた場合】
・開発期間:計画通り
・実装機能:計画の100%
・リリース後のバグ発生率:3%
・3年後の予想収益:1億5,000万円
レポートの最後は、こう締めくくられていた。
『本件は、単なるコストの問題ではなく、どちらの未来に投資すべきか、という経営判断の問題であると分析します』
佐藤の目に、強い光が戻った。
彼女は、そのレポートを手に、再び事業部長室のドアをノックした。
お読みいただき、ありがとうございます!
「未来の損益計算書」を提示するとは…。
『ワンチーム』は、相手の言語で語ることの重要性を知っているようです。
この最強の武器を手に、佐藤は再び立ち向かいます。
次回、このエピソードもついに完結です。
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