賢い“予算案” 第1話:“前例”という名の壁
さて、今日からは新しいエピソードが始まります。
今回のテーマは「会社の予算」。
どんなに良い企画も、予算がなければ絵に描いた餅。
マネージャーの佐藤が、大きな壁にぶつかります。
株式会社テックフォレストでは、来期の予算編成の季節がやってきていた。
マネージャーの佐藤理恵は、高橋健太が発案した新しいアプリ開発プロジェクトの予算案を手に、事業部長のデスクの前に立っていた。
成功すれば、会社の新しい柱になりうる、重要なプロジェクトだ。
「…というわけで、このプロジェクトには、これだけの予算が必要です」
佐藤が説明を終えると、事業部長は、彼女が提出した資料に一瞥をくれただけで、渋い顔をした。
「佐藤くん。
この予算額は、君のチームの前年度のプロジェクト予算より30%も多いじゃないか。
うちは、そんなに余裕があるわけじゃないんだ。
前例に倣って、もう少し、どうにかならないのかね」
「しかし、部長。
今回は、新しい技術を採用するため、どうしても…」
「前例がない、と言っているんだ。
現場の工夫と根性で、なんとかするのが君の仕事だろう」
事業部長は、それだけ言うと、別の書類に目を落としてしまった。
佐藤は、唇を噛み締めながら、彼の部屋を後にするしかなかった。
彼女は知っている。
この会社では、予算の承認は、そのプロジェクトの重要性よりも、声の大きさや社内政治の力関係で決まることが多い。
(このままじゃ、高橋くんの素晴らしいアイデアを、不十分なリソースで潰してしまう…)
彼女は、自分のデスクに戻ると、どうすればこの「前例」という名の分厚い壁を壊せるのか、暗い気持ちで考え込んでいた。
本日もお読みいただき、ありがとうございます。
「前例がない」という、最強の却下理由。多くの人が、この言葉に涙をのんだことでしょう。
佐藤と高橋の新しい挑戦は、このまま潰えてしまうのでしょうか。
続きは、また明日の更新で!
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