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案外、世界は優しさでできている  作者: かつを
第一部 IT企業編
33/119

最高の“交渉人” 第3話:“言葉”が、未来を創る

最高の“相棒”から、勝利へのシナリオを授かった高橋。

いよいよ、手強いと評判のクライアントとの交渉に臨みます。

果たして、その結果は…。

エピソード「最高の“交渉人”」、完結編です。

翌日。

乾部長とのリモート会議が始まった。

高橋は、緊張しながらも、昨日までの彼とは別人だった。

心の中には、信頼できる「最高の交渉人」という相棒がいる。


会議は、まさに『ワンチーム』が予測したシナリオ通りに進んだ。


「高橋さん、ご提案の資料は拝見しました。

しかし、この保守費用5%の値上げというのは、いささか急ではありませんか?」


乾部長が、鋭い視線で切り込んできた。

高橋は、冷静に答える。これも、シナリオ通りだ。


「ご指摘ありがとうございます、乾部長。

こちらの資料の3ページ目をご覧いただけますでしょうか。

この2年間で、私達はこれだけの機能を追加開発し、無償で提供してまいりました。

今回の価格改定は、その価値を適正に評価していただきたい、というのが私達の願いです」


彼は続けた。


「ですが、長年のお付き合いに感謝して、私達からも一つご提案があります。

本来であれば有償オプションである『高度分析レポート機能』を、来年度は無償でご提供させていただく、というのはいかがでしょうか」


乾部長は、一瞬驚いた顔をしたが、すぐに納得の表情に変わった。


「…なるほど。

悪くない提案だ。高橋さん、君は、前任者以上に、こちらの状況をよく理解してくれている。

素晴らしい交渉だった。

この条件で、契約しよう」


結果は、会社が期待していた以上の、最高の条件での契約更新だった。


オフィスに戻った高橋は、佐藤やチームのメンバーから、手放しの称賛を受けた。

高橋は、自分のデスクに座り、静かに息をついた。


彼は、自分が雄弁になったわけではないことを知っている。

ただ、システムがくれた「武器」と「シナリオ」を元に、自分の「言葉」で、誠実に話しただけだ。


交渉とは、戦いではない。

相手を理解し、お互いの利益が重なる場所を見つける、創造的な対話なのだ。


『ワンチーム』は、彼に、その本質を教えてくれた。

システムの優しさとは、人に代わって何かをすることではない。

人が、自分の力で、昨日までの自分を超えるための「翼」を、そっと与えてくれることなのかもしれない。

高橋は、新しい自信と共に、温かい気持ちに包まれていた。

エピソード「最高の“交渉人”」、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

システムがもたらす本当の優しさとは、人に代わって何かをすることではなく、人が自分の力で成長するための「翼」をくれることなのかもしれませんね。

さて、次に彼らを待つ課題は「不透明な予算配分」です。

また明日から、新しいお話が始まりますので、お楽しみに!

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この物語の公式サイトを立ち上げました。

公式サイトでは、各話の更新と同時に、少しだけ大きな文字サイズで物語を掲載しています。

「なろうの文字は少し小さいな」と感じる方は、こちらが読みやすいかもしれません。

今後は、キャラクター紹介や、作中のITシステムの解説なども充実させていく予定ですので、お楽しみに!

▼公式サイトはこちら

https://www.yasashiisekai.net/

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