最高の“交渉人” 第3話:“言葉”が、未来を創る
最高の“相棒”から、勝利へのシナリオを授かった高橋。
いよいよ、手強いと評判のクライアントとの交渉に臨みます。
果たして、その結果は…。
エピソード「最高の“交渉人”」、完結編です。
翌日。
乾部長とのリモート会議が始まった。
高橋は、緊張しながらも、昨日までの彼とは別人だった。
心の中には、信頼できる「最高の交渉人」という相棒がいる。
会議は、まさに『ワンチーム』が予測したシナリオ通りに進んだ。
「高橋さん、ご提案の資料は拝見しました。
しかし、この保守費用5%の値上げというのは、いささか急ではありませんか?」
乾部長が、鋭い視線で切り込んできた。
高橋は、冷静に答える。これも、シナリオ通りだ。
「ご指摘ありがとうございます、乾部長。
こちらの資料の3ページ目をご覧いただけますでしょうか。
この2年間で、私達はこれだけの機能を追加開発し、無償で提供してまいりました。
今回の価格改定は、その価値を適正に評価していただきたい、というのが私達の願いです」
彼は続けた。
「ですが、長年のお付き合いに感謝して、私達からも一つご提案があります。
本来であれば有償オプションである『高度分析レポート機能』を、来年度は無償でご提供させていただく、というのはいかがでしょうか」
乾部長は、一瞬驚いた顔をしたが、すぐに納得の表情に変わった。
「…なるほど。
悪くない提案だ。高橋さん、君は、前任者以上に、こちらの状況をよく理解してくれている。
素晴らしい交渉だった。
この条件で、契約しよう」
結果は、会社が期待していた以上の、最高の条件での契約更新だった。
オフィスに戻った高橋は、佐藤やチームのメンバーから、手放しの称賛を受けた。
高橋は、自分のデスクに座り、静かに息をついた。
彼は、自分が雄弁になったわけではないことを知っている。
ただ、システムがくれた「武器」と「シナリオ」を元に、自分の「言葉」で、誠実に話しただけだ。
交渉とは、戦いではない。
相手を理解し、お互いの利益が重なる場所を見つける、創造的な対話なのだ。
『ワンチーム』は、彼に、その本質を教えてくれた。
システムの優しさとは、人に代わって何かをすることではない。
人が、自分の力で、昨日までの自分を超えるための「翼」を、そっと与えてくれることなのかもしれない。
高橋は、新しい自信と共に、温かい気持ちに包まれていた。
エピソード「最高の“交渉人”」、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
システムがもたらす本当の優しさとは、人に代わって何かをすることではなく、人が自分の力で成長するための「翼」をくれることなのかもしれませんね。
さて、次に彼らを待つ課題は「不透明な予算配分」です。
また明日から、新しいお話が始まりますので、お楽しみに!
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