会社のコミュニケーション 第3話:優しさが循環する場所
ITシステム『ワンチーム』からの、的確すぎる提案。
半信半疑ながらも、その助言に従った高橋。
果たして、彼のチームは、本当に変わることができるのでしょうか。
これは、その一ヶ月後のお話です。
担当者が代わったDBサーバー移行タスクは、ベテランの鈴木の手によって、驚くほどあっさりと完了した。
一方、高橋もまた、得意なUIデザインの仕事で、水を得た魚のようにその才能を発揮し、チームに貢献することで、失いかけていた自信を取り戻していった。
プロジェクトが再び円滑に回り始めた金曜日の昼。
「佐藤さん!」
声をかけてきたのは、すっかり明るい表情になった高橋だった。
「最近、チームの雰囲気がすごく良いので、もしよかったら、今日、みんなでランチでも行きませんか?」
その言葉に、周りのメンバーたちも「いいね!」「行きましょう!」と笑顔で賛同する。
会社近くのイタリアンレストラン。
パスタを頬張りながら、メンバーたちは仕事以外の、他愛もない話で盛り上がっている。
佐藤は、その光景を眺めながら、静かに思う。
(これが、私が本当に作りたかったチームの姿だ)
マネージャーの思い込みではなく、客観的なデータが、それぞれの「得意」を正しく見つけ出し、繋いでいく。
そうして生まれた心の余裕が、人と人との間に、自然な優しさを循環させる。
佐藤の心は、確かな手応えと、温かい充足感で満たされていた。
彼女は、この賢いITシステムが示してくれる未来に、素直な期待を寄せるのだった。
第一話、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
ちょっとした優しさが、チームの空気を変える。
そんな温かいランチの光景が、描けていれば嬉しいです。
さて、高橋のチームに訪れた、最初の優しい変化。
ですが、会社には、まだまだたくさんの課題が眠っています。
次回からは、新しいエピソードが始まります。お楽しみに!
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今後は、キャラクター紹介や、作中のITシステムの解説なども充実させていく予定ですので、お楽しみに!
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