見えない“借金” 第3話:未来への“大掃除”
『ワンチーム』が可視化した「見えない借金」のレポートを手に、佐藤はチームと経営陣を動かすことを決意します。
彼らは、未来のための「大掃除」を始められるのでしょうか。
エピソード「見えない“借金”」、完結編です。
佐藤は、すぐにチーム全員を会議室に集めた。
彼女は、もう一人で悩む必要はなかった。
スクリーンに『ワンチーム』の分析レポートを映し出す。
「みんな、見てください。
これが、私たちが今、直面している問題の正体です。
そして、これが、システムが示してくれた、未来への処方箋です」
彼女は、リファクタリング・スプリントの実施を、チームに提案した。
「もちろん、目先の開発は少し遅れることになります。
でも、私は、この『見えない借金』をここで全員で返済し、もっと気持ちよく、もっと創造的な仕事ができる未来を選ぶべきだと思います。
皆さんは、どう思いますか?」
シーンと静まり返った会議室で、最初に口を開いたのは、ベテランの鈴木だった。
「…やっと、大掃除の時が来たか。大賛成だ」
その一言を皮切りに、高橋をはじめ、メンバー全員が「やりましょう!」「絶対に今やるべきです!」と、力強く頷いた。
自分たちの苦しみが、客観的なデータによって「正当な課題」だと認められたことが、彼らの心を一つにした。
その日からの二週間、チームは、まるで新しいサービスを開発するかのような熱量で、過去のコードの「大掃除」に取り組んだ。
それは、後ろ向きな作業ではない。
未来の自分たちが、もっと楽に、もっと楽しく仕事をするための、前向きな投資だった。
そして、二週間後。
見違えるほど綺麗になったシステムの上で、彼らは再び新しい機能開発を始めた。
その開発速度は、以前とは比べ物にならないほど速く、そして何より、ストレスがなかった。
高橋は、自分の書くコードが、すいすいと動くのを感じながら、思う。
短期的な利益や納期に追われ、人間が見失ってしまう、本当に大切なこと。
この賢いアシスタントは、データという静かな言葉で、それをいつも教えてくれる。
チームには、再び、創造的な仕事に取り組む喜びと、温かい活気が戻ってきていた。
エピソード「見えない“借金”」、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
目先の利益ではなく、長期的な視点を持つことの大切さ。
分かっていても、なかなかできないことですよね。
さて、次に彼らを待つ課題は「業務の属人化リスク」です。
また明日から、新しいお話が始まりますので、お楽しみに!
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