見えない“借金” 第2話:“借金”の可視化
技術的負債」に苦しみ、開発生産性が著しく低下しているチーム。
マネージャーの佐藤も、上層部への説明ができず、頭を抱えています。
この状況を、解決する糸口はあるのでしょうか。
マネージャーの佐藤理恵は、その状況を誰よりも憂慮していた。
メンバーが疲弊しているのは分かっている。
どこかで時間をとって、問題のコードを根本的に修正する「大掃除」が必要なことも。
だが、それを上層部にどう説明すればいい?
「新しい機能開発を止めます。理由は、昔のコードが汚いからです」などと、口が裂けても言えない。
それは、彼女のマネジメント能力を問われることにも繋がる。
彼女が一人、デスクで頭を抱えていた時だった。
『ワンチーム』から、プライベートな通知が届いた。
タイトルは『インサイトレポート:技術的負債の分析』。
画面には、衝撃的なデータが表示されていた。
まず、機能開発に要する時間が、この3ヶ月で40%も増加していることを示すグラフ。
次に、社内のプログラムソースコードを解析し、特に問題の多い箇所が赤くハイライトされたマップ。
そして、その下には、明確なコスト・ベネフィット分析が記載されていた。
『現状分析:直近一ヶ月の開発時間のうち、35%が「技術的負債の返済(過去の不具合修正)」に費やされています。
このまま放置した場合、半年後には、この割合は60%に達すると予測されます』
『推奨アクション:2週間の「リファクタリング・スプリント(集中修正期間)」の実施
・効果予測:新規開発は一時的に停止しますが、その後の開発生産性は50%向上し、関連するバグの発生率は75%低下する見込みです』
それは、佐藤が言葉にできなかった問題を、経営層が最も理解できる「コスト」と「利益」という言語に、完璧に翻訳したレポートだった。
お読みいただき、ありがとうございます!
問題の大きさを「コスト」と「利益」という、誰もが納得する言語に翻訳してみせる。
『ワンチーム』の見事な問題解決能力でした。
この客観的なデータを手に、佐藤は動きます。次回、このエピソードもついに完結です。
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