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案外、世界は優しさでできている  作者: かつを
第一部 IT企業編
24/119

埋もれた“アイデア” 第3話:芽吹いた“誰か”の想い

匿名でアイデアを投稿できる「アイデア・ガーデン」。

高橋は、勇気を出して、自分の「想いの種」をそこに植えました。

果たして、その種が芽を出す日は来るのでしょうか。

エピソード「埋もれた“アイデア”」、完結編です。


数日後。

マネージャーである佐藤理恵の元に、『ワンチーム』から通知が届いた。


『インサイト:「アイデア・ガーデン」に、事業性の高い新規ビジネス案が投稿されました。

初期分析の結果、高い投資収益率が見込まれます。

詳細な事業計画の草案を添付しますので、ご確認ください』


佐藤は、添付されていた事業計画書の完成度の高さに目を見張った。

市場分析、ターゲット層、収益予測、開発スケジュール案まで、完璧にまとめられている。


「…すごい。いったい誰が、こんなアイデアを」


彼女は、すぐにチームメンバー全員を会議室に集めた。


「皆さん、聞いてください。『アイデア・ガーデン』に、匿名の素晴らしい提案が投稿されました。

会社としても、正式なプロジェクトとして立ち上げを検討したいと思っています」


佐藤が企画の概要を説明すると、メンバーたちは「それは面白い!」と色めき立つ。


「つきましては、この素晴らしいアイデアを考えてくれた方に、ぜひ、このプロジェクトのリーダーをお願いしたい。…名乗り出ていただけませんか?」


会議室が、静まり返る。

全ての視線が、誰が手を挙げるのかと、固唾をのんで見守っている。


高橋は、心臓が早鐘のように鳴るのを感じていた。

数秒間の逡巡の後、彼は、震える手をおずおずと、しかし、まっすぐに挙げた。

その瞬間、佐藤の顔が、満開の花が咲くように、ぱあっと明るくなった。


「…!やっぱり、あなただったのね、高橋くん!素晴らしいアイデアよ!」


メンバーからの温かい拍手に包まれながら、高橋は、少しだけ頬を赤らめていた。

もう、彼の心に「どうせ無理」という壁はない。


システムが作り出した、誰かの顔色をうかがう必要のない、たった一つの優しさ。

それが、埋もれていた一人の才能を、見事に開花させた瞬間だった。

エピソード「埋もれた“アイデア”」、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

自分のアイデアが認められる喜び、そして、それをちゃんと見ていてくれる仲間がいる安心感。

そんな温かさを描けていれば嬉しいです。

さて、次に彼らを待つ課題は「見えない“借金”」です。

また明日から、新しいお話が始まりますので、お楽しみに!

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この物語の公式サイトを立ち上げました。

公式サイトでは、各話の更新と同時に、少しだけ大きな文字サイズで物語を掲載しています。

「なろうの文字は少し小さいな」と感じる方は、こちらが読みやすいかもしれません。

今後は、キャラクター紹介や、作中のITシステムの解説なども充実させていく予定ですので、お楽しみに!

▼公式サイトはこちら

https://www.yasashiisekai.net/

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