埋もれた“アイデア” 第1話:“どうせ無理”という壁
さて、今日からは新しいエピソードが始まります。
今回のテーマは「埋もれていくアイデア」です。
素晴らしいアイデアも、声に出せなければ存在しないのと同じ。
高橋が、また何やら悩んでいるようです。
大きなプロジェクトが一段落し、株式会社テックフォレストには、久しぶりに穏やかな時間が流れていた。
高橋健太は、日々の保守タスクをこなしながらも、頭の中では全く別のことを考えていた。
(あの機能、もっとこうすれば、絶対にユーザーは喜ぶはずだ…)
それは、彼が担当しているシステムの、全く新しい使い方に関する、革新的なアイデアだった。
彼は、プライベートなメモファイルに、そのアイデアの概要や画面イメージを、夢中になって書きためていた。
しかし、そのアイデアを正式に提案するとなると、話は別だ。
高橋の脳裏に、いつもの光景が浮かぶ。
忙しいマネージャーの佐藤さんの時間をなんとか取ってもらい、勇気を出してプレゼンする。
佐藤さんはきっと「いいね」と言ってくれるだろう。
だが、その後だ。
彼女がさらに上の事業部長に話を通し、予算会議にかけられ、関連部署からのフィードバックを受け…。
そうしているうちに、あれほど輝いて見えたアイデアは、いつの間にか「保留」という名の引き出しの奥で、忘れ去られていく。
以前、同僚が提案した素晴らしい改善案も、そうやって立ち消えになったのを、高橋は見ていた。
(…どうせ無理だ)
その一言が、彼の情熱に冷たい水を浴びせる。
高橋は、書きかけのメモファイルを、誰にも見られないようにそっと閉じた。
彼の素晴らしいアイデアは、こうして、また一つ、埋もれていこうとしていた。
本日もお読みいただき、ありがとうございます。
「どうせ提案しても無駄だ…」高橋の気持ち、痛いほど分かりますね。
このまま、彼の素晴らしいアイデアは、誰にも知られずに消えてしまうのでしょうか。
続きは、また明日の更新で!
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