見えない“国境線” 第2話:“痛み”のシミュレーション
営業部からの無茶な要求に、崩壊寸前の開発チーム。マネージャーの佐藤も、頭を抱えています。
この状況を、解決する糸口はあるのでしょうか。
佐藤が、上層部にこの無謀な計画をどう説明すべきか、頭を抱えていた時だった。
『ワンチーム』が、静かに、しかし素早く動き出した。
営業部の冴木が登録した受注報告をトリガーに、システムが新しいプロジェクトを仮登録。
そして、その影響を即座にシミュレーションし始めた。
数分後。
冴木、佐藤、そして二人の上司である事業部長を含む、全関係者のPCに、『ワンチーム』から一斉に通知が届いた。
『新規プロジェクト「ゴライアス社・機能追加案件」が仮登録されました。
リソース影響のシミュレーション結果を共有します』
続けて表示された内容は、衝撃的だった。
『警告:本案件を納期3ヶ月で遂行した場合、開発部は12週連続で稼働率180%を超える見込みです。
【予測される影響】
・既存プロジェクトへの不具合発生率:40%上昇
・開発部の従業員ストレス指標:65%上昇
・開発部の離職リスク:25%上昇
・本案件の納期内での成功確率:12%
【推奨代替案】
A案:納期を6ヶ月に延長することで、現行リソースでの成功確率は92%に向上します。
B案:シニアエンジニアを3名増員することで、納期3ヶ月での成功確率は85%に向上します。
関係者による、早急な対策会議の開催を推奨します』
それは、感情的な反論ではない。
ただ、客観的なデータを元にした、会社の未来に関する、冷徹なまでのシミュレーション結果だった。
お読みいただき、ありがとうございます!
感情論ではなく、客観的なデータで「痛み」をシミュレーションする。『ワンチーム』の、少しだけ冷徹で、しかし最高に優しい解決策でした。
この「事実」を前に、彼らは変われるのでしょうか。
次回、このエピソードもついに完結です。
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