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案外、世界は優しさでできている  作者: かつを
第一部 IT企業編
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見えない“国境線” 第1話:“戦場”からの電話

さて、今日からは新しいエピソードが始まります。

今回のテーマは「部署間の対立」。]

同じ会社なのに、まるで外国のように話が通じない…。

そんな経験はありませんか?

株式会社テックフォレスト、開発フロア。

マネージャーである佐藤理恵のチームは、緊張感に包まれていた。

主要プロジェクトが佳境を迎え、高橋健太やベテランの鈴木守をはじめ、メンバー全員が連日遅くまで作業に追われている。

オフィスの空気は、静かだが、ひりつくような熱を帯びていた。

その時、佐藤のデスクの電話が鳴った。

相手は、営業部のエースである冴木さえきだった。

彼の弾んだ声が、受話器から響き渡る。


「佐藤さん、やりましたよ!

大手クライアントの『ゴライアス・コーポレーション』から、新機能の追加開発、大型受注です!

クライアントの発表会に合わせて、納期は3ヶ月後。

やれるって、言っておきましたから!」


佐藤は、一瞬、耳を疑った。

彼女はデスクのPCで、『ワンチーム』のダッシュボードに表示されているチームのリソース状況を確認する。

稼働率は、すでに120%に達している。

この状況で、あの規模の案件を3ヶ月で?

物理的に不可能だ。


「…冴木さん、申し訳ないけど、うちのチームの今の状況を見て。3ヶ月は絶対に無理よ」


「いやいや、佐藤さん、気合が足りないですよ。

こっちは戦場で、命がけで仕事取ってきてるんですから。

開発の皆さんも、もっと情熱で応えてくれないと。

じゃ、そういうことで!」


一方的に、電話は切れた。

佐藤は、受話器を置いたまま、呆然と立ち尽くす。

彼女は、疲れ切った顔でモニターに向かう高橋たちの背中を見つめた。

営業部と開発部の間には、目には見えない、しかし、あまりにも深い断絶、冷たい「国境線」が存在している。

彼らにとって、私たちは、ただ利用するだけの「資源」でしかないのか。


佐藤の心に、深い無力感が広がった。

本日もお読みいただき、ありがとうございます。

「俺たちは戦場にいるんだ!」営業部の言い分も分かりますが、開発部の疲弊も限界です。

この根深い問題を、あの賢いアシスタントはどう解決するのでしょうか。

続きは、また明日の更新で!

ーーーーーーーーーーーーーー

この物語の公式サイトを立ち上げました。

公式サイトでは、各話の更新と同時に、少しだけ大きな文字サイズで物語を掲載しています。

「なろうの文字は少し小さいな」と感じる方は、こちらが読みやすいかもしれません。

今後は、キャラクター紹介や、作中のITシステムの解説なども充実させていく予定ですので、お楽しみに!

▼公式サイトはこちら

https://www.yasashiisekai.net/

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