君だけの家庭教師 第3話:優しさの“連鎖”
『ワンチーム』の助言を受け、新人・伊藤さんに寄り添うことを決めた高橋。
彼の優しさは、彼女に届くのでしょうか。
エピソード「君だけの家庭教師」、完結編です。
高橋が教えてくれた資料のおかげで、伊藤さんは、あれほど分からなかったロジックを、嘘のようにすっきりと理解できた。
そして、その日のうちに、初めて自分の力で、バグを修正することができたのだ。
彼女の心は、確かな達成感で満たされていた。
終業後、高橋が伊藤さんの元へ行き、進捗を確認する。
「おお、すごいじゃないか、ちゃんと動いてる。一日でここまでやるとは、大したもんだよ」
高橋が素直に褒めると、伊藤さんは、はにかみながら深々と頭を下げた。
「高橋さんが、あの時、声をかけてくださったおかげです。本当に、ありがとうございました」
そのストレートな感謝の言葉に、高橋の胸が温かくなる。
人に教えるのは苦手だと思っていた。だが、部下の成長を間近で見ること、そして、感謝されることが、これほど嬉しいことだとは知らなかった。
高橋は、自分のデスクに戻ると、『ワンチーム』の画面を開いた。
そこには、伊藤さんのスキルマップに、新しく「ユーザー認証(基礎)」という項目が、淡い光を灯して追加されていた。
(俺が彼女を育てて、彼女が会社に貢献して、そして、俺も育っていく…)
AIは、人と人の間に立つのではない。人と人の間に、温かい繋がりの「橋」を架けてくれる存在なのだ。
高橋は、そのことに気づき、静かな感動を覚えていた。
この会社には、確かな優しさが循環している。案外、世界は、そんな風にできているのかもしれない。
エピソード「君だけの家庭教師」、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
教える側と教えられる側、両方に寄り添うシステムの優しさが描けていれば嬉しいです。
さて、次に彼らを待つ課題は「ベテランの持つ“暗黙知”」です。
また明日から、新しいお話が始まりますので、お楽しみに!
ーーーーーーーーーーーーーー
この物語の公式サイトを立ち上げました。
公式サイトでは、各話の更新と同時に、少しだけ大きな文字サイズで物語を掲載しています。「なろうの文字は少し小さいな」と感じる方は、こちらが読みやすいかもしれません。
今後は、キャラクター紹介や、作中のITシステムの解説なども充実させていく予定ですので、お楽しみに!
▼公式サイトはこちら
https://www.yasashiisekai.net/




