君だけの家庭教師 第2話:先輩の“ささやき”
初めての仕事で壁にぶつかり、孤立しかけている新人・伊藤さん。
OJT担当の高橋も、どう教えるべきか悩んでいました。このすれ違いを、解決する糸口はあるのでしょうか。
高橋は、自分の仕事に集中しながらも、伊藤さんの様子が気になっていた。先ほどから、明らかに手が止まっている。声をかけるべきだろうか。でも、自分で考える時間も大切だ。下手に口出しをして、彼女のプライドを傷つけたくない…。
高橋が、指導の難しさに頭を悩ませていた、その時だった。
彼のPC画面の隅に、『ワンチーム』から、彼だけに見える通知がポップアップした。
『インサイト:伊藤様の作業が、30分以上停止しています。ログを分析した結果、「ユーザー認証のロジック」で躓いている可能性が高いです。これは、新人にとって一般的なハードルです』
続けて、こう表示された。
『提案:このロジックを理解するための、伊藤様専用の学習コース(所要時間30分)を生成しました。
【資料リンクはこちら】
彼女に「この資料が分かりやすいから、参考にしてみたら?」と、高橋様から伝えてみてはいかがでしょうか』
高橋は、その提案に目を見張った。AIは、直接伊藤さんを助けない。あくまで、OJT担当である自分を「サポート」する役に徹しているのだ。
彼はリンクを開き、生成された資料の分かりやすさに感心すると、静かに席を立った。
「伊藤さん、どうかな?…ああ、やっぱりそこの認証ロジック、ちょっと複雑で難しいよね。俺も新人の時、ここで半日悩んだよ」
高橋は、できるだけ優しい声で話しかけた。
「たしか、いい資料があったはずだ…。あ、これこれ。この解説ページが分かりやすいから、一回読んでみたら?急がなくていいからさ」
彼は、そう言って、『ワンチーム』が生成した資料のリンクを、自分のチャットから伊藤さんに送った。
伊藤さんの目に、みるみる安堵の色が広がっていく。
忙しいはずの先輩が、自分の状況に気づいて、しかも共感してくれた。そして、的確な解決策まで示してくれた。
「…!ありがとうございます!読んでみます!」
孤立感は、一瞬で消え去っていた。
お読みいただき、ありがとうございます!
困っている本人ではなく、その指導役である高橋にそっと手を差し伸べる。
ワンチームの、なんとも奥ゆかしい優しさでしたね。
この一手で、二人の関係は変わるのでしょうか。
次回、このエピソードもついに完結です。
ーーーーーーーーーーーーーー
この物語の公式サイトを立ち上げました。
公式サイトでは、各話の更新と同時に、少しだけ大きな文字サイズで物語を掲載しています。「なろうの文字は少し小さいな」と感じる方は、こちらが読みやすいかもしれません。
今後は、キャラクター紹介や、作中のITシステムの解説なども充実させていく予定ですので、お楽しみに!
▼公式サイトはこちら
https://www.yasashiisekai.net/




