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008◾️悠真と実夏の失恋
廊下を歩いていると
実夏が1人でいた
いつもは囲まれて外に出れない悠真だが
今日は違った
すかさず真夏に駆け寄り声をかけた
「2人で話さないか」
実夏の眼から涙が溢れ出してきた
「何話すのか分からない。話すことなんて何もない」
実夏は事情があって悠真と話すのを避けてしまった
実は家の虐待に耐えかねて
風俗店で働いてしまっていたのだ
悠真の隣にいていいのは自分ではない
その気持ちがあまりに大きく真っ暗で暗黒の心に染まってしまっていた
人格形成をして、真っ暗に染まり上がってしまっていたのだ。
時が遅かった。
もっと早くに来てくれてれば…
悠真は当然知らない
真夏の表情を見て
自分ではないと感じた
「しつこく話しかけてごめんな。もう誘ったりしないから、そんな顔しないで。」
そう優しく伝えた。
真夏の笑顔が見れればそれがいい
そう思う事にして
実夏からさっと身を引くことを決心したのだ
そんな悠真は次の日から、気兼ねなく真夏に話しかけてユーモアで笑わせる事にした
回数は少なかったが
笑ってもらうために何度か話しかけた
実夏は楽しかった
そんな悠真を見て、あっという間に悠真に惚れたのだった。