一番好きな人
大昔、ジュディオングの「魅せられて」という歌謡曲が大ヒットした。
♪美しすぎると怖くなる
♪好きな男の腕の中でも違う男の夢を見る、ふうーん、はあーん
♪私の中でお眠りなさい♪
阿木燿子の歌詞はすごい。阿久悠とともに昭和の歌謡曲の巨匠である。
テレビが絶大なエンターテインメントとして日本に根付いていた当時、日本中でこの歌が流れ、日本中の人が口ずさんでいたように記憶している。幼い私も歌詞の意味など全く理解しないまま、この魅惑の歌を熱唱していた。
私はいい女だが、怖くなったことはない。まだまだだ。
しかしそれ以下の歌詞は経験済みだ。私も大人になったものだ。
どんなに好きでも結ばれない人がいる。
別れて次の男と付き合う。でもいつまでも一番好きな男は心の中で生き続けている。忘れられない。次の男が嫌いなわけではない。もちろん大好きだけれど、心に住み続ける男は次の男に抱かれている時も心から出て行かないのだ。仕方がない。
女友達が「一番好きな人とは一緒になれないのよ。」と言った台詞がずっと忘れられない。
若い娘さんたち、この台詞をどう捉える?悲劇と捉えて涙に明け暮れる?私は長いこと泣き続けた。
そして最後に悲しい気持ちを手放した。それは彼に出会えたことを喜べる気持ちのほうを大きくできたからだ。
そんなに愛せる人は、人生のうちで何人も現れない。そんな人と出会えたことを私は幸せに思う。