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嫉妬


私は嫉妬しない。今は。かなり苦しんだ経験という薬が効いて健康体に戻った。私を嫉妬させた男は、知り会ったときすでに彼女持ちだった。私はフリーだったが真剣な付き合いは望んでいなかったし、すごく年下だったから軽い気持ちで友達になった。


ところが恐ろしく気が合う。一緒にいても何も気を使うことがなく、お互い好きなことを言えて、好きなことができる。そして何よりめちゃめちゃ楽しい。不思議な存在だった。言うまでもなくすぐに恋に落ちた。彼女から彼を奪うつもりは毛頭ないが、彼女を傷つけていたら謝りたい。私は悪い女だ。反省している。


私と旅行に行っても、彼女の機嫌が悪いと彼は彼女と長電話して(なだ)めている。私は一人で待っている。やっぱり彼女が一番で私は二番なんだと腸が煮えたぎる。結局私とは楽しい時間だけで、彼女とのような絆なんてないんだと鳩尾(みぞおち)が痛くなる。


そんな気持ちを何度も彼にぶつけたが、彼は見事に受け止める。うまい。私を決して離さないのだ。私は彼を愛さないことができず、長いこと嫉妬に苦しんだ。そのうち彼女と別れるんじゃないかとどこかで思っていたが、苦しすぎて彼との未来を諦めて何度も彼から去った。


そして何度も引き戻された。しかし最後は我が身をぶった切る思いで、自分から離れて一人になった。一緒にいても辛く、離れても辛い。壊れそうだった。


嫉妬の闘病生活を乗り越え、しばらくして私は新しい人に出会って愛するようになっていた。そこに、彼が彼女と別れてやって来た。人生はたまに意地悪をする。


心も体も千切れる思いで離れた経験は、私を彼に返さなかった。でも姉弟のような感情が大きくなっていて、彼との関係は友達として細々と続くようになった。いつも彼がいい女と幸せであるように祈っている。


去年、彼は体調が悪いから検査を受けると言ってきた。その後医師から白血病と診断され、余命まで告げられた。彼も私も泣いた。自分にとってどれだけ彼が大事か思い知らされた。


しかし二度目の検査で治癒可能な白血病だと診断され、大泣きしたのが馬鹿らしく、嬉し泣きした。白血病にはいくつか種類があるらしい。最初の医者を恨む。兎に角、彼は私にとって、今でも大切な人である。


若い娘さんたち、嫉妬をどう扱うかは自分次第だ。嫉妬に操られてはいけない。嫉妬するような状況の相手は選ばないほうがいい。とはいっても好きになってしまうのはどうしようもない。それなら覚悟してとことん愛しなさい。


でも自分を傷つけてはいけない。彼を愛さないことができなくても、辛いなら離れることはできる。離れても愛し続ければいい。


愛するということは、一緒にいてイチャイチャすることだけじゃない。彼を自分の所有物にすることでもない。愛は辛くない。嫉妬は人間の心の作用だが、愛はそんな些末なものではない。嫉妬が波しぶきなら、愛は深い海の水だ。決して波立つことはない。



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