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手のひら返し


田舎に引っ越した数か月は、好きじゃないジジイに好かれるという悪夢にうなされた。映画「エルム街の悪夢」は実話に基づいているらしいが、ジジイの悪夢も本当にあった怖い話だ。占いでもしたらジジイにモテモテの運気だったのだろう。


以前も書いたが、部屋を紹介してくれた男は私を自分の彼女にしたいのだ。でもそれが無理とわかった途端に、部屋にある家具などを譲渡するからという名目でお金を要求してきた。それまでは一切お金の話などしていなかったので凄く驚いたが、私は手切れ金のつもりで支払った。


その後しばらく連絡をよこさなくなったので一件落着とほっとしていたら、久しぶりに連絡してきて長々とテキストを送ってきた。なんで毎日おはようと挨拶を送らないのかと言う。私がチャットしないのはtoo bad酷すぎると言う。優しい私は、チャットしたかったら連絡してください、と丁寧に返信した。


そうしたら、両方向のコミュニケーションじゃなきゃダメだと言う。お前も連絡して俺も連絡する、だって。頭おかしいのか?私が連絡しないのは、お前に全く興味がなく、連絡しなければならない用事もないからだ。もうただ気持ちが悪い。この男はもちろん私の住んでいる場所を知っているので、恐ろしくもある。引っ越しの時に鍵は変えていない。


昨夜はストレスで胃が痛くなった。ババアも繊細なところがあるのだ。しかし私は護身術を習ったこともあるし、キックボクシングもやっていた。やれるもんならやってみろ!という気構えで眠りについた。


大家さんからはいわゆる告白をされ、彼の人生に私は組み込まれている。お気持ちは有難いが無理ですということは伝えてあるが、彼は第一印象で何かの啓示を受けたらしくなかなか忘れてくれない。


引っ越し当初はいろいろ世話になったので、毎日の誘いも最初の数週間はできるだけ受けて、距離をうまく保ちつつ一緒に夕飯を食べ、コーヒーを飲み、卓球をし、ビリヤードをしたが、大家さんは私にとって、人のいいお爺さんでしかなく、全く恋愛対象ではないので、私も限界に達して断る回数が増えた。


そうしたら、「大事な話があるんだけど夕食の時に」という、情報が欲しければ夕飯を一緒に食べようみたいな、餌で釣る作戦とも取れる誘い方に変化した。


ウンザリしてきた私はほとんどの誘いを断るようになり、私のデート相手が家に来たのも目撃され、誘いもなくなって安心していたら、今度は家賃の値上げを示唆してきた。引っ越して二か月で家賃を上げるなんて暴挙である。


まったくオランダ男はわかりやすい。自分のものにならないと判明した途端の手のひら返しである。私に花を買ってプレゼントし、知り合いの店があるから自分のツケで水着を買ってきなさいと言っていた人の豹変ぶりに絶句する。


オランダ人は非常に合理的だが、これはオランダの文化的特徴なのかもしれない。ケチで、損得に細かく、計算高い。自分のものにならないとわかった途端、その女には価値がないから尽くすのを止める。そしてそれまでしてやったことに対する見返りを要求する。単純明快。


これって当たり屋だ。自分から勝手に好きになって、受け入れられないと闇金の借金取りに変わる。(たち)が悪い。デート費用を寝た回数で割り算する男の話を聞いたことがあるが、同じようなものだろうか。好意を受け取る時は覚悟して、当たり屋には気を付けないといけない。


若い娘さんたち、世の中にはいろんな種類の男がいるが、当たり屋や詐欺師もいる。怪しい男には近づかないように気を付けて。お金で済めばいいけれど、心まで傷つけられてはいけない。好きな男の仕打ちは惚れた弱みで太刀打ちできない時もあるが、好きでもない男の理不尽な仕打ちなど一刀両断に遠ざけよう。水着を買ってもらわなくてよかった。私に非はない。ババアは強く立ち向かうのだ。


そしてしつこい男に困っていたら、一人で悩んでいないで誰かに相談しなさい。事件に発展することは滅多にないと思うけれど、絶対に自分の身は守って。親でも友達でも警察でも誰でもいいから話してみて。助けが必要なら助けを求めて。助けてと言うことは全然恥ずかしいことじゃない。あなたは本当に本当に大事な存在なんだよ。絶対にしつこい男に傷つけられてはいけない。



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