義母
私は音楽が大好きだ。日本では通勤中必ず聞いていた。会社のデスクにつくまで聞いている。どうしてもリズムを取りたいので、人前では小さくかすかに指を動かし、足の指は靴の中でテンポを取るが、エレベーターで一人になると踊り出す。
ある日ふと気づいた。エレベーターには監視カメラがついているのだ。警備室では踊るババアで有名だったかもしれない。大人な警備員たちは、廊下ですれ違っても決して指差して踊るババアだとは言わなかったが、陰では踊るポンポコリンだったかもしれない。
私は外と内を分けるように厳しく躾けられた。母は礼儀作法に厳しい人だった(まだ生きているが)。その上、体育会系なので一般常識的な日本の作法は身につけているつもりだ。
そんな私の家に、数年前長男が彼女を連れてきた。詳細は省くが、彼女が玄関で脱いだ靴を揃えなかった。私の中ではもう終わった。それはよそ様の家に上がる時の最低限の基本中の基本のマナーだ。しかし私の彼女ではないので、どうでもいい。
長男には何でも話すので正直な私の印象を伝えたら、それ以来彼女を私に会わせることはなくなった。よかった。子供の恋愛には興味がない。悩んでいるなら相談に乗るが、楽しくやっているならいちいち報告はいらない。勝手にやって欲しい。
結婚しようとしまいと、ゲイになろうと何になろうと本人が幸せならそれでいい。私はずっと娘が欲しかったので、いつも息子たちに今からでも女の子になっていいんだよと言っていたが成功しなかった。
いつか私も義母になる日がくるのかもしれない。嫁の産んだ孫を抱くことは期待していない。人生期待するとろくなことがないのをよく知っている。ただ母は子供の幸せだけを祈っている。自分より子供が大事だ。母はそんなものだ。
若い娘さんたち、結婚となると彼氏の家や家族が重くのしかかってくるかもしれない。でも義父母と結婚するんじゃない。家の問題も彼と一緒に乗り越えられるか考えて。どんなことでも一緒に乗り越えていかれる人かどうか、それが大切。




