サイド:火星連合軍⑩最終決戦、摩希人視点
今回もあえて短めです。
ご了承ください。
『いいか、先行しすぎるなよ! 摩希人少尉! 聞こえているか⁉』
スヴェトの指示を無視して、摩希人は先行する。今の彼は、あの金色への執着と……地球の覇権を手に入れるチャンスに、燃えていた。
(あの機体を壊して、その上で地球を手に入れる……最高じゃないですか!)
今の彼を止められる者は誰もいない。
故に……か。
ナイトメア小隊の他の三人は、連携して摩希人とは違う方向へと向かって行く。
その光景を見ても、摩希人の心は微動だにしなかった。
彼はどこまでも、己の欲望で動く。
(お! いましたねー僕の獲物‼)
金色の機体、宇宙コロニー軍の精鋭部隊の標的を見つけ、摩希人は歓喜した。ここで、ようやく壊せると――
摩希人は、舌なめずりをしながら獲物に向かって、銀狼幻月を加速させる。
相手も気づいたらしく、攻撃体勢に入るのが見えた。
「やる気じゃあないですか! さぁ、殺し合いましょうよ! 宇宙コロニー軍の金色さん!」
愉しくて高揚する自分を抑える事なく、本能のまま摩希人は刀を抜き、急接近する。敵機は、それを見越してか一定の距離をを保つように動いていた。
それがまた、摩希人の加虐心を加速させた。
抵抗されるほど、壊しがいがあるからだ。
そうして、戦闘に入りかけたその時。
――聞きなれない声に、邪魔をされたのだ。




