82.宣戦布告は突然に
すっかり怯えてしまったクレセを見て、里長は少し呆れたように息をつく。そしてハルとショコラの方を見て自己紹介をした。
「そこの2人は始めましてかの? 我が名はミカヅキ。鬼の里ライジャンの里長であり、鬼族の首領を勤めておる」
「初めまして、ショコラです」
「ハルと申します。初めまして」
ミカヅキが紹介するとハルとショコラも続けて挨拶した。そしてその後ろでクレセは「何で……平気なんだ……」と小さく呟いた。
そしてミカヅキはそのクレセに気づいたのか、またため息をついてこう言った。
「クレセ、そんなに怯えることでもなかろう。はよ出てこんか」
「分かってはいますけど……」
その時、レイラが研究所から帰ってきた。そして、鬼の大軍を見て驚いたがすぐに戻り、挨拶をした。
「え!? 鬼の皆? というか里長様もなんで……」
「およ、レイラか、久しいの」
「え? 知り合い?」
「でも、レイラ、オマエは確か……エルフだよな?」
さも見知った仲の2人にハルとショコラは驚きを隠せない。レイラは2人の方を向き説明した。
「始めてきたときに分かってると思いますが、私とクレセは一緒に暮らしてたんです」
「鬼族はな身体能力が高いが医療と魔力が乏しくての。それを豊富に持ってるエルフ族と支え合うことにより、守りを強くしているのだ」
「そのため、私も何回か彼女のお世話になってるんです」
「へぇー、そんなことが」
知られざる2つの種族について驚きの事実が分かったところでレイラは再びミカヅキの方を向いて聞いた。
「ところで里長様、何でこんな所に?」
「ああ、ここで年末を過ごそうかと思っていたのもあるが、一番は若い衆の中でも特に強いクレセを倒した者が気になっての……」
その言葉にハルはギクッとなり、図書館へ戻ろうとしたが、しかし、そうも上手くはいかなかった。
「ああ、ハルさんの事ですかね」
「この水色の髪の毛の娘の子とかの?」
「はい」
と言ったレイラに対し、ハルとクレセは(何余計なことを!)と内心焦りながら聞いていた。
ミカヅキは腕を組み、ハルの方を見ながら面白そうに悪い顔をしながらこう言った。
「のう、そこの娘。わしと一戦しないか?」
その圧に逆らえなかったハルは気弱にこう返事した。
「はい、受けて立ちます……」
そしてその後ろではクレセが頭を抱えてまた小さくこう呟いたのだ。
「あー……もう……屋敷が半壊するよ……」




