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53.失敗は成功のジャム

 さて、翌日ハルとルビィはリディルの町のパン屋に下調べに行くことにした。もしかしたら何かアイデアが生まれるかもしれないという思いで出かけたのだ。

 

 「ところでハル様ってパン屋にいくのは初めてですか?」

 「はじめてね……」

 「だいたい本屋しか行きませんもんね。この前もショコラ様が『アイツはとにかく外に出ない』って嘆いてましたよ」

 「分かったわどつく」

 「ハル様?」


 2人は談笑しながらパン屋を巡るが、ハルはあることに気づいたのだ。

 

 「どこもかしこもシンプルな物だけだな……」

 「そうですか?」

 どのパン屋も基本的に食パンや丸パンとかいったシンプルな物ばかり。たまにスティックパンとか見つけてはルビィが「棒状は初めて見ました」とか言ったが、ハルにとっては何を今更な感じなのである。 



 ハルとしては中に美味しいカスタードクリームが入ったクリームパンや片手で食べることが出来るサンドイッチを期待したがどうやら過剰だったようだ。

 ルビィの方もアイデアを得ることが出来ずしょんぼりした様子で帰って行った。



 帰るとハルは即座に図書館に入り、レシピ本を探した。レイラの薬のようにもしかしたら、昔の本から何かヒントが得ることが出来るかも知れないと思い、ハルは調べたが前世のようなレシピは無かった。



 こうなればもうやけくそで自分が前世もちだと言うことをバレずになんとか切り抜けてやると言うようにルビィに話しかけた。



 「ねぇ、ルビィ。この世界にジャムって言うのはないの?」

 「ジャム? 何ですかそれ」

 ジャムという知らない単語が出てきて首をかしげたルビィとまずかったと悟ったハル。腹をくくってジャムとは何か説明しようとしたとき、レイラが慌ただしく図書室に駆け込んだ。



 「もーーー! やだーーーー! 失敗しちゃったー!」

 「失敗? 薬で? 珍しいこともあるのね……」

 「もうホントに! 唯一の取り柄の薬でドジやらかしちゃったの!」

 「なにやらかしたのよ」

 「とりあえず、こっち来て……」

 レイラに誘われるがままにハルとルビィはレイラの研究所に足を運んだ。



 研究所の中の一角にある製薬所。その鍋にはドロドロに煮込まれたクラムベリーがあった。 

 ハルはそれを見てキョトンとする。



 「ねえ、レイラこれが失敗?」 

 「そうよ。最近少し忙しくて、ほらサフィもなかなかこっちに来れないじゃ無い? ポーションで回復しつつ新薬の研究をしていたけど寝ぼけててエキスを採ろうとしたら鍋がこんなことに……しかも何か知らない内に砂糖入ってた……」

 そう肩を落としたレイラだが、ハルはそんなレイラを気にせず鍋の中に指を入れ、それを舐めた。



 「お、うまい」

 「え?」

 「しっかし、レイラ、あんたいつジャムを作る技術を手に入れたの? 凄いよこれ」

 「ジャム?」

 「え、もしかしてこれが先程言っていたジャムとやらですか?」

 「うん。果物を砂糖で煮込んで作る調味料なんだ。パンとの相性がよくてね」

 「なるほど……これ、使えますか!?」

 「なら果物屋から様々な物買ってそれのジャムを作るといいかも」

 「分かりました! 行ってきます!」 

 元気よく駆けだしたルビィを見てレイラはますます混乱していた。



 「ちょっ、ちょっと、ハル何言ってるのか分からないけど……」

 「あ、レイラ他に鍋ある? それを全部貸して欲しいの、手伝って」

 「全部!? まぁいいけど……」

 「アンタのドジがかなりのものだからまぁ監視はするけど、私もね、ちょっと作りたい物があるからカボチャ採ってくるわ」

 「ああ……行ってらっしゃい……」

 何が何だがレイラは分からず混乱していた。 

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