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30.新たな成長そして課題

 「よーし、じゃあちょっと実践してみようか」

 「はい!」

 クロエにも魔法を教えるようになって早2週間。そろそろテスト時期かと思ったショコラとハルはあるものを用意した。


 「マーシャ、私がとりあえず雑魚モンスターを2体召喚するからそれを倒せ。クロエも同じような事をするからな」

 「リリィはこのちょっと枯れかけてる苗を回復魔法で。クロエはこっちの薬草畑の苗を」

 「はい! 師匠!」

 「分かりました……。ところでハルさん、野菜畑の当番サボったので」

 「クロエ! ちょっとそんなこと言わないで!? セレネにバレたらなんて言われるか……」

 「セレネー、ハルが水やりサボ……」

 「ショコラさん! ホントにやめて!」

 クロエの一言がきっかけでいつもの漫才が始まったが、弟子達は慣れたのかその様子を生暖かい目で見ていた。


 気を取り直して、まずはショコラが召喚魔法を使い、雑魚モンスターであるホーンラビットを召喚する。その様子を見てハルはこの前のバーベキューのことを思い出したが、ショコラが目線で「倒されたら消えるタイプの奴」と投げかけたので、ふて腐れたように目を反らした。


 目線でも茶番を繰り広げる2人に気づかずまずはマーシャが魔法を出す。今回はこの前とは違って「サンダー」を使う。すると、杖に願いをこめただけで杖に雷撃が走り、一気にホーンラビットを片付けた。

 続くクロエも「フリーズ」を無詠唱で使い、一瞬でラビットを片付ける。その様子を見てショコラは満足そうだった。


 「2人とも凄いな! 威力はともかくもう無詠唱で出せるとは滅多に見ないぞ!」

 「そりゃあ認められるために頑張りましたから!」

 「毎日夜遅くまで自分の部屋の机で頑張ったもんね!」

 「そりゃあ凄い……でもお前らちゃんと寝てる? ハルから聞いたけど執筆活動もしてるんだろ?」

 「ああ、それならレイラさんがこの薬を飲めばと」

 「レイラー! 新しく来た子を実験台にするんじゃない!」

 まさかドーピングをしていたとは思わずショコラは向かいの研究所にいるレイラに向かって怒鳴った。そして2人の方に向いてお説教をする。


 「レイラから怪しいお薬を貰うんじゃありません! ちゃんと寝なさい!」

 「はーーい……」

ショコラにお説教された2人は正座して小さくなっていた。その様子を見たハルがちょっと呆れながら、リリィとクロエに声をかけた。


 「リリィ、クロエ次はこっちだよ」

 「はーい」

 クロエとリリィはそれぞれの位置に着く。それぞれの植木鉢の中にはハルの不注意で枯らした苗があり、そこに回復魔法をかけて治すのが2人の試験だ。

 回復魔法を2人はまた無詠唱で唱える。すると、苗はみるみるうちに回復してゆき、他の苗よりも生長していった。


 「凄いわ! 無詠唱で回復はおろか生長までさせるなんて!」

 「そりゃ上手くなるまで何度も繰り返しましたから」

 「そうそう自分に回復魔法かけて、レイラさんのポーション飲みながら」

 「ちょっと!? 不健康すぎない!?」

まさかこの世界にもエナジードリンク(この場合はポーション)付けで頑張る社畜みたいな存在がいるのかとハルはビックリし、リリィを叱った。

 しかし、ショコラはその様子を見て「全く……3ヶ月も飲まず食わずあげく寝ずに読書した奴が何を今更……」とぼそっと呟いた。



 「おーい、3人ともちょっと」

 「どうしました、ショコラ師匠」

 「何かあったんですか?」

 ある日、いつもの如く弟子たちを教えていたショコラは3人を呼び出し、屋敷の中へと入れた。何事かと不思議に思う3人を連れ、ショコラは一室を開ける。

 そこはショコラ達がいつも使っている図書館であり、慣れてるクロエはともかく、2人はその大きさに口を開けて驚いていた。ショコラは驚いている2人をつついて、正気に戻し、3つに分かれて机に積まれている本を見せた。


 「お前らにやって欲しいことはとりあえずこの本を全て読破して欲しい」

 「全部ですか!?」

 「ああ」

いきなりショコラに言われ、3人は驚く。1冊だけでもかなりの量があるそれは5冊ほど各列に積まれていた。あまりの量にマーシャ達が諦めたような声で言った。


 「え……? これ全てですか!?」

 「あのちょっと……多くないですかね……」

 「うっわ、規格外……」

 いきなり本を見せられた3人は慌てる。しかし、ショコラは優しくかつ諭すように語りかけた。


 「ここにある本は将来魔女になったときのために必要な事が書いてある。覚える呪文は当然のこと、いつ使うべきかや魔力を消費しない方法もだ。私達2人はこの前のテストでお前らに何かを感じたし、健康を捨ててまで努力するその姿勢にうたれてたな」

 「ショコラ師匠……」

 「どうだ? 頑張れるか?」

 「はい!」

 「よーし、いい返事だ。じゃあハルこの本で分からないことがあったらアイツらに教えてやってな」

 「分かりましたよ、ショコラさん」


 3人の魔法修行はまだまだ始まったばかり、そしてこの3人も後にとんでもない魔女になるが……それはまた別のお話。

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