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私は読書がしたいだけ!~本読みスローライフがしたかっただけなのになんでこんなことに?~  作者: ラッテ・カフェ
第五章「農業はスローだけどハードである」
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22.意外な能力

 レイラが畑にぶちまけた薬はニンジン畑の方に染みこんだ。すると、次の瞬間、芽が生え、葉が茂り、何とニンジンができあがったのだ。


 「うわっ、もう出来てるよ凄くない?」

 「レイラさんのドジもたまに役に立つことあるんですね……」

 「普段、役に立ってないみたいな言い方やめて?」

 「実際そうだろうが」

まさかレイラのドジでこんな素晴らしいことが起こるとは思わず、全員レイラを絶賛した。レイラはドジと言われたことに不服に感じながらも、ちょっと誇らしく思った。

が、安堵したのも束の間、どんどんニンジンの葉は生長していくのだった……。


 「……ショコラさん、これ伸びてませんか?」

 「た、確かにずっと伸びてる気が……」

 「というか森が出来上がりそうなんだけど」

 「……見てる暇ってあるんですか……?」

 「やべ! このままじゃ家が壊滅するわ!」

 「オイ、急いで止めろ! 後セレネとルビィとクロエは避難!」

あまりにも成長速度が速く大きくなっていくニンジンに危機感を感じたショコラ達は3人を遠くの場所に避難させる。そしてその場に残ったハルとレイラに指示を出した。



 「レイラ! アンタ生長を止めて寧ろ芽に退化させる薬とか作ってないか!?」

 「そんなことがあろうかと!」

 「作ってたの?」

 「多分、これをかければ……きゃっ!」

 「あー! 何でそこで落とした!」

 「すみませぇぇぇぇん!」

 「もう、お前は遠くに避難してくれ!」

ショコラの無茶ぶりにも答えたレイラだが、残念なことにその瓶はついうっかりで落としてしまった。

しかも、その間にニンジンはどんどん生長していく。



 「とりあえず、拘束魔法かけたけど……」

 「これは既に時間の問題だな……」

 「何か手はあるんです?」

 「…………しょーがない、使いたくなかったが、もうアレを使うしか手は無いな……」

とりあえず生長しているニンジンの被害が屋敷に出る前に鎖や網で拘束する魔法をかけたハルだが、勢いは止まりそうに無い。絶望的だと感じたその時、ショコラがポツリと呟いた。



 「アレって何です? ショコラさん」

 「ハル、この際だから明かすが、実は私は数少ない時間魔法の使い手でな、私のレベルになると自由に時を止めたり、戻すことが出来るんだよ。ただ、消費する魔力はかなりのものだ」

 「え!? ホントですか!? と言うよりここで明かすんですね……」

 「仕方ないだろ緊急なんだから」

屋敷が潰れかねないと言う時に明かされたショコラの秘密にハルは驚いていた。時間魔法は扱うのがかなり難しく、また魔道書も難解なためハルですらまだ2割も習得していない。それを自由に扱えるショコラに尊敬の念を抱き、ハルは一歩引いた場所に移動した。



 「よし、じゃあいくぞ促進剤をかける前に戻れ!」

 「え、ホントに戻り始めてる! すっご……」

 「まぁ、な……ゼェ……ゼェ……久々に使ったからか……ちょっとしんどいな……」

 「ショコラさん!?」

ショコラが指から謎の光線を出し、今にも拘束を突き破りそうなニンジン達に当てるとたちまちニンジンは小さくなっていった。小さくなったニンジンはレイラが畑に促進剤をかける前に戻っており、また彼女がこぼした二つの薬も元に戻っていた。

 しかし、ショコラの方は少し膨大な魔力を使ったのか倒れてしまった。ハルはショコラの方に駆け寄った。



 「ショコラさん、大丈夫ですか?」

 「安心しろ、……ただの……魔力切れだ……」

 「いや、それで安心しろって言う方が無理なんですけど……」

 「ショコラさん!?」

 「ショコラ様、いったい何が!?」

ハルが魔力切れを起こして倒れているショコラを介抱していると、安全を確認したのか屋敷の外に避難していた住民達もやって来た。そして、そこにいたある1人にショコラは説教を開始した。


 「全く……、レイラ……お前……何……やってんだホン……トに」

 「すみません……」

 「まぁ、薬を……作……る……腕は凄……いが……頼む……か……ら……サ……フィに……それを……持たせてこい……」

 「はい……分かりました……」

 「と…いう……わけで……サフィ……魔力……回復……の……ポー……ション……持って……来て……」

 「畏まりました」

サフィは魔力回復ポーションを持ってくるため、研究所の方に走っていった。

ハルは魔力切れになっても説教をするショコラに感心しながら、その光景を見ていた。



 「ショコラ様、こちらになります」

 「ホン……ト……ありが……と……」

 「大丈夫です?」

 「あー何とか復活したわ、原液一瓶でこうなる事分かったから、如雨露に一滴、二滴いれるだけにするぞ」

 「そうしましょうか」

サフィからポーションを受け取りすっかり魔力が回復したショコラは起き上がり、メンバーにそう説明した。

メンバーも頷いたり、了承したりしていたので、納得しその日は終わった。



 さて、それから1週間後。すっかり実ったトマトやキュウリ畑を収穫するルビィやサフィを見ながら、ハルは変わらず図書室で読書をしていた。

 「ショコラさん、やっぱりあの薬強いですよね」

 「ん? レイラの本によると水で薄めて使うと二週間ってあるが……あっ」

 「どうしたんです?」

 「土にかけた育成魔法、解いてなかった……」

 「何やってんだか……」

ある意味ドジなのは彼女の方だろうなとハルは思いながら、読書を続けたのだった。

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