その67 等身大ケットシーのフェルト人形を、プレゼントフォーユ―
そんなこんなで、ケットシーの控室を書かれた扉へと着き、中から複数の声が聞こえ、とりあえず扉を蹴り飛ばした。
「うぉ?! 何?」
「邪魔するぞ」
「え、誰……ん? お、アンタさっきのショーを見に来てた、美女魔人さんじゃん」
「やはり私の事だったか」
「まぁ、前に座ってたハーピィーちゃんも含めてだったけどな……って、何してくれてんの?!」
随分と反応が遅い奴だな……。
まぁ、蹴り飛ばした扉の餌食なったスタッフが、気絶しているのなら、こちらとしては都合がいい……。
とりあえずケットシーを壁へと追い詰め、もっふりふわふわな頭部を掴んでやった。
「ちょ、ちょっと? なにする気だ?!」
「心配するな、痛みはない」
「や、やめ?!」
精神睡眠でケットシーを、本物の人形のようにすることに成功した。
何時でも目覚めさせることができるが、コイツが自らの意志で目覚めることは出来ない。
さてさて、そこらへんは大目に見て貰って、さっさと蛇髪親子の元へ戻らね……いや待てよ。
本物のケットシーがいなくなれば、ここのキャラクターショーが成り立たなくなるぞ。
さて、どうしたもんか……何かいい方法があれ……お。
お、丁度気絶しているお手頃なスタッフ達がいるじゃないか。
そうと決まれば話は早く、ちゃっちゃとイメチェンの力で、スタッフ達をケットシーに強制変化させた。
「よし、クリソツだな」
ケットシーの数は若干多くなるが、上手くローテーションすれば、前より効率よくキャラクターショーをこなせる筈だ。
納得した私は、人形と化した本物のケットシーを抱え、颯爽とその場を去り、蛇髪親子の元へと戻って来た。
ちゃんと待っててくれたみたいだし、早速本物のケットシー人形をやるとするか。
「蛇髪親子。等身大ケットシーのフェルト人形を持って来たぞ」
「スン……ケットシーちゃんの大きな人形……私にくれるの?」
「あぁ」
「ほんと? ほんとにほんと?」
「なんだ? 疑うって事はいらないのか?」
「ううん! とっても欲しいです!」
ふふ、すっかり泣き止んだ子供だが、キラキラした目が可愛らしいな。
「ふっ、少し重いからちゃんと持てよ」
「わ!? ほ、ほんとに重たーい! ありがとう! 魔人のお姉ちゃん!」
これが私の考えた解決策の全てだ。
私も子供も笑顔になれる最高の解決策だ。
微笑ましい空気の中、母親が頭を下げながら、巾着袋を私に差し出していた。
「あの……ありがとうございます……その、少ないですがお代金を……」
「いらん」
「け、けど……」
「ここで受け取れば無粋だろ。行くぞ、右腕」
「了解です! 勇者様!」
右腕を先導にエレベーター方面へと向かう中、後ろから蛇髪子供の大きな声が聞こえ、軽く振り向いてみた。
「ありがとー! 魔人のお姉ちゃんー! お人形ー! 大事にするねー!」
「あぁ」
蛇髪親子が笑顔になれて良かった良かった。
これで心置きなく次の階層へ行けるな。




