☆その6 新魔王
※2021/4/21文末に表紙っぽいのがあります! 設定と違ってたらすみません!
※イラストが苦手な方はスルーでお願いします。
右腕が仲間思いなら、毛根を全て差し出して擁護する筈だ。
「そこまで鱗男に肩入れするなら、鱗と引き換えに貴様の毛根をよこせ」
「逆鱗って、また生えるみたいなんで一枚二枚ぐらい大丈夫ですよ」
この薄情者め。
「って、竜人王君の手当てしないと!」
鱗男にはあとで伝えておくか、貴様は右腕の毛根以下だと。
それにしても今更なんだが……右腕が魔王の右腕として相応しくない姿だな。
ここは私の力でどうにかしなければ。
「おい右腕。面を貸せ」
「あ、ちょっと。物理的に掴み掛るなんて聞いあばばばあば?!」
破壊と回復を瞬時に繰り返し、どんな造形にでも作り変えられる力、イメチェンを私は発動させた。
とりあえず、伝記の挿絵みたいにしてやるか。
骨格、肉付き、内面改善、聞くに耐えない音が鳴るが右腕の為だ。
我慢しよう。
「ふぅ……多少マシになったな」
「あばぁああふぅっ!? し、死ぬかと……ん? こ、声が若々しくなってる!?」
「それもその筈だ。自分の姿を見てみろ」
「え? こ、これがワシ? あのイケメンになってる! ぽっ」
よっぽど気に入ったんだな。
姿鏡前でポージングするほど酔いしれている。
中身は薄毛のままだからな、忘れるなよ。
「これで長女も見直してくれるに違いない! 勇者様! ありがとうございます!」
「礼はいい。それより鱗男はいいのか」
「は! そうでした! 竜人王君ー!」
時間が掛かりそうだし、今の内に飾り角でも作っておくか。
よし、即席だが美しい飾り角の完成だ。
加工しやすい鱗で良かった。
鱗男の王剥奪の件は保留にしておくか。
それにしても我ながらいい出来だ。
艶やかな黒髪にも映えて、惚れ惚れしてしまうな。
これでバリエーションも豊富だと尚も良し。
追々、探すのもありだな。
「お待たせしまし……お、おぅ……」
「何か言いたそうな顔だな」
「想像以上にお似合いで……最高です!」
「だろ?」
これで私は正真正銘の魔王となったな、ふふ。