その43 オートマタの事実
ミニゲームとやらが始まったな、デモ映像が流れてるが難しそうだな。
コントローラー自体も、人間の世界のと異なって、そう易々と操作に慣れる訳ない。
「色白、是非とも私に直接触れて、操作方法を教えてくれ」
「さ、触っても怒りませんか?」
「むしろ色白になら触れて欲しいぞ」
「え、勇者様。何言ってんですか?」
右腕が何かほざいてるが、私の邪魔立ては許されん。
普段なら、鉄拳制裁でも食らわせているが、今の私は頗る上機嫌だ。
愚かな戯言ぐらいは、許してやろう。
色白があたふたとして、待ちあぐねた私から、強制的に手を握らせて貰った。
私より小さな手だな、まるで幼き女子のようだ。
「し、新魔王様……そ、その恥ずかしいです……」
「気にするな。そんなことより、手取り足取り教えてくれた」
「あ、ワシにも教えて」
「おい、今すぐ口を閉じないと、その口を縫って焼き閉じるぞ」
ジェスチャーで口出ししないと、懸命に訴えているな。
初めっからそうしておけば良かったんだ、まったく無駄な口数を使って損した。
さて、邪魔者が黙っている今の内に、色白に教えて貰うぞ!
「ま、まず画面に出るAボタンカウントを、タイミング良く押します」
「ほぅ」
「次に、同じようなBボタンカウントがあるので、またタイミング良く押します」
「ほほぉ」
「で、連打のエフェクトが出たら、LRトリガーを交互に連打してエネルギーを貯めます」
「ふむふむ」
「最後に、攻撃開始の合図が出たら、レバガチャでめちゃくちゃ連打します。以上が今回のミニゲームになります」
つまり、押して押して押しまくれって事だな、非常に分かりやすい。
きっと、色白も物理的に私に押して押して押されたいに違いない、ふふ。
本当にかわいい奴め、もはや実姉も同然なんじゃないか?
とりあえず、教えて貰った手順通りを把握し、ミニゲームがスタート。
次々にミニゲームとパーティーゲームをこなし、最終的に私が圧勝した。
色白は二位になり、私を凄いですと褒めてくれた。
正直嬉しすぎて興奮してしまい、思わず抱き締めていた。
右腕はというと、数合わせのモブキャラに負ける、大変な雑魚っぷりを見せつけてくれた。
親睦も深まったことだし、ゲームを切り上げてプライベート話をして貰う事にした。
「気になったんだが、色白は寝泊りをどうしてるんだ? 別室か?」
「いえ。食事とかお風呂、トイレ以外は大体ここで済んじゃいますんで、寝室もここです」
「なに?」
ここは引き籠りの巣も同然なんだぞ?
色白の従来の素晴らしさが損なわれてるのを、本人は気付いていないのか?
よし、こうなったら私が、色白の引き籠りを脱してやらねばならんな。
「色白。良かったら、私のベッドを寝室に使うか?」
「え? め、滅相もないです!」
「遠慮するな。クイーンベッドサイズだから、ゆとりはあるぞ」
「そ、そうじゃなくて……女の子同士が一緒に寝るなんて、恥ずかしいですよ……」
「私は一向に……今なんて言った」
「その……恥ずかしいんで」
「そこじゃない。色白……お前は女なのか?」
「は、はい」
な、なんてことだ……妙に声変わりしない声で、無い乳だと思ったら、私と同じ性別なのか。