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その4 勇者の決意

「で」

「で、でとは?」

「無害とはいえ、派遣されたからには何かしらの役割があるだろう。言え」

「は、はぁ。派遣先って基本、何やってもいい決まりなんで、何もしなくてもお咎めなしなんですよ。えぇ」


 魔王という存在は、さほど重要視されていないという事か。

 どおりで薄毛が派遣されて来た訳だ。


 きっと魔界の目論見は、見掛け倒しでいいから、世界にとっての脅威があれば、なんか面白そうじゃねぇ? 的な精神なんだろう。  


「そこでですね? ワシから勇者さんにお願いがありまして……」

「晒し首になら言わずともやる」

「自ら死を望む魔王がどこにいますか!?」

「違うのか」

「違います!」


 よくよく考えなくとも、魔王の晒し首があったどころで誰得感が否めない。

 むしろ汚ブジェとしての役割にしかならないな、やめておこう。


「そのですね? 現役魔王あるワシが人類に対して、無害ですよーって今更説得できるわけないですよね?」

「当たり前だ」

「そこで! 人間である勇者さんが、ワシの代わりに魔王になって、人類に無害であると説得していただければ……」

「勇者である私が魔王にだと?」


 そうか、このつるっぱげは今置かれている立場を見誤っているようだ。


 私がここで素直に首を縦に振り、魔王となれば後継者問題が解決する。

 そして自分は優雅に隠居生活を送る。

 つまり薄ハゲのご都合展開に持ち込みたいわけだ。

 

 全人類代表である勇者の私を、ここまでコケにしたいのなら、いい度胸だ。


 魔王、貴様の願いはここで潰え……。




 ……待て。


 

 魔王になるということは、魔の者達は私の思うがまま……。

 ほぅ……これはいい機会だ。

 

「……いいだろう」

「え」

「貴様の願い、乗ってやろう」

「ま、マジで言ってます?」

「なんだ? 貴様は私に嘘を吐き捨てたのか?」

「いえいえいえいえ!? 正真正銘嘘偽りのない本心です!」


 魔王引退の確定言質を得た今、魔の者達は一度終焉を迎えた事になる。


 そして私の手によって、魔の者達は新たな存在となって息を吹き返す。


 人類平和の為、素晴らしいじゃないか。

 ただし、薄ハゲの隠居は許されない。


「貴様の願いを容認し、そして私の右腕として仕えることを命じる」

「え、い、隠居生活は?」

「魔の者が魔王に逆らうのか?」

「な?!」


 元魔王は己の首を絞める愚か者だ、もう逃げられはしないぞ。

 ふふふ……これから楽しみだな。


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