表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/142

その39 牛魔王の猛攻、新魔王は一撃

 牛女はプルプル震えながら、私にこう言った。


「し、新魔王様! その角は! わ、私の幼馴染達の角よ!」

「そうか。良い角だぞ」

「今すぐ返却して頂戴! もし断れば……貴方と戦う事になるのよ!」


 ただ返却しろと騒がれても、明確な理由がない以上は無理な話だ。


 それに三階層を治める者としては、あまり相応しくない言動だぞ。

 よって、私がこの手で捥ぎ取った角は、返却する必要がないと判断した。


「お望みなら戦ってやる」

「ゆ、勇者様……牛魔王ちゃんの戦闘モードは鬼強いですよ」

「ふん。どうせ見た目だ……」


 ……牛女の奴め。 

 最後まで言わせずに殴ってきやがった。


 かすり傷すら負わられない貧弱拳だが、壁まで吹き飛ばされたのはムカつく。


 牛女は拳を痛めて、冷や汗ダラダラだな。

 所詮、無駄に乳のデカい女に過ぎないって事だ。

 そこをちゃんと理解して貰おう。 


「ほ、骨にヒビが……な、なんて硬さなの!」

「血もぴゅーぴゅー出てるな……なぁ、牛女さんよ……」

「か、完全に魔王の顔ですよ! いよ!」

「貴様は黙ってろ」

「げひ!?」


 あまりにも存在がウザすぎて、瓦礫に投げ飛ばしてやったわ。

 さぁ、右腕がやいのやいのと戻って来る前に、牛女とのケリをつけるか。


「さぁ、牛女。思う存分、私を好きなだけ殴れ。私はその間、何もしないでやる」

「しょ、正気の沙汰とは思えないわ……けど、このままだとミノタウロスの名が廃る!」

「来い、牛女」

「でりゃああ!」


 蹴りにかかと落とし、テールアタック、殴りラッシュ、極めつけの頭突き。


 どれもこれも痛くも痒くもない。

 ただの雑なマッサージだ。


「あぐ……ど、どうして無敗である私の攻撃が通用しないの!」

「私は生まれつき、絶対的な防御があるからな。痛みとは縁も所縁も無い、人生を送って来た訳だ」

「な?!」

「さぁ、まだまだ遠慮はいらんぞ?」

「ひ、ひぃ!?」


 すっかり戦意喪失してしまった牛女は、その場にへたり込んで、ミルクをたらたら垂れ流していた。

 強烈な甘くて誘惑される香りが、より強まってるな。

 嗅ぎ過ぎると気分が悪くなりそうだ。


「ふぇ~……降参します……ぐすん……」

「そうか。なら次は、私の番だな」

「へ?」

「なーに……一撃だけだから、安心しろ」


 まるで絶望と直面したような面になったな。

 その反動か分らんが、ミルクの洪水になってる。

 さて、私の一撃はこの握り拳のだけだ。


 貴様の無駄に鍛えられた腹筋なら、余裕で耐えられるだろう。


「牛女、貴様が言い出したことだ。拒絶する卑怯な真似はしないだろ?」

「ひぃぃい?! どうかお許し下さい! 何でも致します! どうか命だけは!」

「心配するな、せめて瀕死で止めてやる」


 あらゆる穴から液体を垂れ流す牛女は、もはや返事すら出来ない程に、放心しているな。

 懐も丁度ガラ空きになってる事だし、むしろありがたい。


 瀕死にしても、すぐパーフェクトヒールを掛けてやればいい話だ。

 一思いに握り拳を、牛女の懐で構え、撃ち放っ……。


「牛魔王ちゃーん! 危なぁああああげばっす!?」


 クソ! 

 右腕の奴が飛び出てきて、牛女を庇いやがった!


 どこまで私の邪魔をすれば気が済むんだ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ