表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/142

その37 牛魔王(メス)の特濃ミルク

 よくよく考えれば、右腕を爺顔に戻すメリットがないと思い出し、代わりに尻を蹴ってやった。


「いだぁああ?! な、何すんですか?!」

「ちんたら歩いてるからだ。口より足を動かせ」

「だからって……分かりましたよ」


 ぶーぶー小言を呟いてるようだが、私の耳にはちゃんと入ってるからな。

 これだから勇者様は怖いんだ、だとか、勇者様の方が話してるじゃん、だとか抜かしている。

 口は禍の元と、人間の世界のことわざがあるが、まさに右腕はそれに該当する。

 貴様の数々の失言は、私の記憶にインプットされているんだ。

 いっその事、全てを書き起こして、右腕が尻に敷かれている妻とやらに送るってやるか。


 右腕のガクブル姿が容易に浮かび、内心ほくそ笑んでやってる中、甘く妖艶な香りが鼻に来た。

 

 奥へ進むにつれ、その香りが強まり、突き当りの扉までやってきた。

 扉を通り越してまで、香りが漏れ出しているな……一体何なんだ?


 右腕に扉を開けさせると、熱気とも違うムワっとしたピンクの空気が、一気に流れてきた。

 

「相変わらずムンムンですな~ほほほ」

「キモいぞ貴様。中に何がいるんだ」

「あら? 誰か来たの?」


 おしとやかな女子の声が、ムワっと空気の奥から聞こえたぞ。

 よくよく見れば、人影らしきシルエットが見えるが、大きさが巨人並みだぞ。


「こんにちは! 今そっちに行きます! ほら、勇者様! 早く早く!」

「指図するな」


 奥へ歩み度、シルエットが徐々に鮮明になり、私は目を疑った。


 凄まじい大きさの乳房を持った、数十m級の角生えおっとり女子が、くつろいでいたからだ。

 牛柄のビキニ姿だが、乳房の大きさもあってか、肌色面積の方が異様に多く感じる。


「こちら、三階層を牛耳る牛魔王ちゃんです!」

「こんにちは♪」

「あ、あぁ……人間の成りなんだな。てっきり牛頭と同類かと思ったぞ」

「ミノタウロスの雌は、こんな感じなの♪」


 だらしない顔の右腕は、どうやら牛女の乳房にしか目が行っていないみたいだ。

 これまで嫌悪感を覚えたのは、初対面時以来かもしれないな。

 

「ところで♪ お二人は誰なの♪」

「ワシは元魔王です! こちらの方は、新魔王様です!」

「よろしくな、牛女」

「よろしくね新魔王様♪ 元魔王様♪」


 何という懐の広さだ。

 あの右腕を元魔王だと認識しているぞ。


 この牛女の女子力は、もしや私が思っている以上に壮大である可能性が高い。


「せっかく来てくれたんですし、私のミルクを飲んでって下さい♪」

「牛女のミルクだと?」

「ほら、あれですよ。昨日シュークリームに使った特濃ミルクですよ」

「あれか」


 私の嫌な思い出を、よくもまぁ飄々と口にできるな、コイツは。

 まぁ、牛女自体には悪はない、ご厚意に甘えて飲んでやるか。 


 ジョッキに並々の注がれた白濁液を、牛女から手渡され、腰に手を構え景気良く一気飲みしてやった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ