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その26 一夜明けた新魔王

 魔王となって一夜が明け、私は未だかつてない程の、最高な目覚めを経験した。

 そう……あれはとても素晴らしい夢を見たんだ。

 人間の世界、魔界、天界を私が治める、最高の夢を……正夢になる日も、そう遠くはないな。


 日差しを浴びるべく、厚手のカーテンを豪快に開いたが、外は年中無休で薄暗かった。

 まぁ、そこまで陽の光は好きでないし、気にする必要はないな。

 さて、さっさと着替えて、第一食堂で朝食をとりに行くか。


「んー……食ったら、魔王城見学の続きだなー……」

「おはよーございます!」

「ノックぐらいしろ! くそ腕!」

「あでぇ?!」


 レディーの部屋に勝手に踏み込むなんて、よくもまぁ簡単にやれるもんだな。

 思わず石塊(いしくれ)で脳天を吹き飛ばすところだったぞ。


「いたた……いきなり酷いですよ!」

「知らん。こんな朝っぱらから何しに来た」

「そりゃ、朝食を一緒にと思いまして来ただけです」

「行ってやらんこともない」

「そう来なくっちゃ!」


 朝から無駄に元気で鬱陶しい……私が低血圧だったら、粉微塵にして五度踏み潰してるぞ。



 第一食堂へ向かう途中、右腕が何か聞きた気に、何度も顔を見てきやがっていた。


「気が散る」

「すんません。あの、昨日寝る前に一つ、気になった事があったんですけど……」

「なんだ」

「勇者様って、空間移動できる力があるなら、旅の途中でも、いつでも人間の王都に戻れましたよね?」

「まぁな。で?」

「言っちゃ悪いですけど、魔王城での寝床も、王都で良かったんじゃないかと思った次第なんですよ」


 右腕の言いたいことは、十分に理解している。

 わざわざ旅で野晒しの寝床で休むのではなく、王都で安眠すれば良かったのではないかと。

 そもそも旅はアウトドアと見ていたからな、まったく苦ではなかった。

 だから王都に戻る必要性を感じなかった訳だ、流石意志の強い私だ。


 そんなことも知らずに、昨日の寝床探しも必要だったのかと、右腕はそう言いたいんだろう。



 馬鹿め、貴様が昨日公言したことをまったく理解していないのも、私は理解しているぞ。


「いいか右腕。私は今、魔王として存在している」

「はい」

「貴様も元魔王なら考えてみろ。魔王が人間の世界で、寝床を所望するなんぞ、今まで一度もあったか?」

「いやー……ないですね。あ」

「分かったか。所詮魔の者は魔の者、人間は人間。今は、この境界をハッキリさせる必要があるんだ」


 境界線がおかしくなった3000年の歴史が、それを物語っているんだ。


 以前聞いた右腕の話通りならば、魔の者は人間の世界を侵略せず、天敵である天界なる者が、魔の者だと偽った何かで、侵略を差し向けたらしい。


 まったくふざけた話だが、どの道この曖昧となった三つの境界線は、一度統括する必要がある。 

 それを全うするのが、他の誰でもなく、私である以上は好きにはさせない。


 夢を正夢とする為、人間の世界、魔界、天界を、私はこの手で必ず治めるんだ。


「えーっと……つまり?」

「……私が人間だろうが、今は魔王だ。何があろうと、この地で骨を埋めるということだ」

「おぉー! 意識高いっすね!」


 この後頭部ハゲを生き埋めにするのは、今からでも遅くはないか。

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