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その131 アフロディーテと女勇者

 認識阻害の力を掛けながら移動すること早10分、白く輝く宮殿前に私達は立っていた。


 この宮殿がアフロディーテの住まいだそうだが、宮殿内から物々しい音が外まで響き、何かが起きている様だった。


 普通なら何が起きたか推理する時間だろうが、如何せん私達には時間がないんだ。


 問答無用で立ち塞がる巨大門を蹴り破り、宮殿本殿の巨大玄関扉も流れで吹き飛ばした。


 物々しい音の正体は、メイド風天使達が忙しなく荷造りをしているものだったようだ。


 考えられる原因は、天界の街と同じ、被害に遭わないように避難する為だろうな。


 そう考えたら精霊王の神経の図太さは、私が知る連中で随一かもしれん。


 で、認識阻害中だから天使達は私達に一切気付いていないが、玄関がいきなり吹き飛んだことに恐怖している風だった。



「あわわわわわ……しゅ、修理費を請求されませんかね!?」

「知らん。ヘカトンケイル、奴がどこにいるか分かるか」

「きっと自室ですねーこっちです」



 あわあわ五月蠅い右腕を引き摺り、宮殿内の奥へ奥へと進み、一際空気が違う扉前で立ち止まった。


 微妙に開いている隙間から、中を覗き見ると、清潔感溢れるピカピカな白い大きな部屋が広がっていた。


 家具やベッド、絨毯までもが全て白一色だからか、遠近感がよく分からんくなる。


 そんな部屋のクイーンベッドの傍で、真っ白長髪の清楚系大人女子が荷造りをしていた。



 魔界でも言えた事だが、天界の連中も数百年以上は軽く年老いているのに、ピチピチな私と同じぐらい若々しいな。


 とりあえずここら周辺に、見えない遮音の壁を張り、中へとお邪魔した。


「扉が勝手に……誰」

「あ、俺が先陣切るんで、認識阻害の解除をお願いします」

「あぁ」


 指パッチンを鳴らし、ヘカトンケイルの認識阻害を解除。


 急にヘカトンケイルの姿を認識出来たアフロディーテは、オーバーリアクションで驚いていた。



「へ、ヘカ叔父様!? ど、どう? へ?」

「や♪ アフロディーテちゃん久し振りー」


「あ、いや……状況がいまいち飲み込めないのだけど……そんな芸当出来ましたっけ?」

「出来ないよー♪ でも、この方なら出来ます!」



 チラッと私達の方を見ながら、ヘイヘイヘーイと認識阻害を解除しても大丈夫とアピールしてやがる。

 流石にウザいぞ。


 ただ、時間停止の時間も残り少ないんだ。

 さっさと姿を見せて、アフロディーテをユートピアに同行させるぞ。


 先程と同じ工程をし、私と右腕の姿が認識されると、またまたオーバーリアクションだった。

 

 ワンパターンなのか。



「ま、魔王君まで!? って事は……貴方が噂の勇者さんね……」

「そうだ。いいかアフロディーテ。時間がないから手短に話」


「その前に! 愛娘のクイーンちゃんの件は本当に申し訳ありませんでした。私がゼウス兄さんに頼ったのが、今回の事の発端だと認識しています」



 まさか丁寧な謝罪をされるとは思わなかったな。


 しっかりと誠意を見せて貰った上で、ここに来た理由を手短に伝えた。



 それに対するアフロディーテの返事は、同行はできないが私達をユートピアへと行かせてくれる事になった。




 宮殿の屋上に移動し、アフロディーテが指笛を吹くと、遥か天空から羽根付きの美しき白馬が舞い降りてきた。


「こちらが唯一のユートピア直行移動生物、ペガサスーンです」


『パルルルルゥゥ……ヨロシクゥ……』


「こいつ、言葉が喋れるのか」

「ゼウス兄さんがそうしたんです」


『ヨロシクゥ……』


 頼り甲斐のある奴だが、クセありの渋声過ぎないか?

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