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女勇者、引退したい魔王に代って、魔王になる  作者: とある農村の村人
8章 オークキングとダークエルフ
122/142

その122 魔ッキンリーの管理者イエティ

 魔ルプス山脈を越え、魔ッキンリー山脈を越えようとしてる私達だが、右腕がいつの間にか遭難しやがり、ヘカトンケイルと探している最中だ。


 豪雪と暴風が吹き荒れる、遭難待ったなしな環境ではあるが、私達の側から離れなければ、まず遭難する事はない。


 のに、この有様だ。


 千里眼は役には立たないし、サーモグラフィーアイも寒色一色。

 生命反応もヘカトンケイルの奴しか見当たらん。


「現魔王様ー居ましたかー?」

「名残さえ見つからん。もう一層の事、魔ッキンリーの悪天候と豪雪景色を消し去る以外にない様だな」

「そいつはやめた方がいいですよ」


 ヘカトンケイルによると、こんな最悪環境にも魔の者がいる為、消し去ってしまえば住処が無くなり、魔ルプス山脈に移住するしかなくなると。


 私とした事が、そんな分かり切った事を忘れていたなんて、どうかしてた。


 移住問題こそ抗争の火種になりやすいんだ。

 私の勝手な判断で、ここらの魔の者を巻き添えにするところだった。


 やはりここは、地道に探す以外の道はなさそうだ。


「すまんかったなヘカト……ん? ヘカトンケイル? どこ行った?」


 つい数十秒前までいやがった巨体が、煙の様に消えるなんてあり得るのか。

 そもそもヘカトンケイルなら、私に一言告げてから行動する筈だが、それが無かった。


「一体どうなってやがるん……ん? 足元が沈んでひょ!?」


 地面がいきなり落下しやがった!


 そういえば聞いた事がある。

 こういった豪雪地帯の山には、豪雪に隠れた見えない裂け目があると。


 もしかしたらヘカトンケイルも右腕も、裂け目に落下した可能性が高い。


 そんなことを考えていると、裂け目の底が見え、華麗に着地。

 軽く数百mぐらい落下したようだが、すでに落ちて来た穴が豪雪で埋まっているな。


 まぁ私に掛かれば容易に脱出できるが、アイツらがここらにいる可能性がある以上、単独で出るわけにいかん。



 とりあえず、光も何もない暗闇を照らすべく、ここら一帯に持続型フラッシュを発動。


「……ほぅ、氷の洞窟だな。声も反響するな」


 ザッと一通り見た感じ、一本道しかないようだな。




 景色を楽しみつつ道なりを進む事、早10分程、落下した痕跡を発見した。


 そして痕跡の側に、紙切れが一枚置いてあったので、手にとって目を通した。



「なになに……落下してから早30分……勇者様とヘカトンケイル君の氷像を作り、気分を紛らわす。早く見つけてくれないかなー……」


 だったら、その場から動かずに待っとけばいいだろうに、何故移動してやがる、あの右腕の奴め。

 しかも両脇にある氷像のクォリティーが、抽象的過ぎて、すぐに粉砕してやった。


 下らん事に時間を費やすなら、ここから1秒でも早く出られないかを考えておけって話だ。

 きっと馬鹿な右腕もヘカトンケイルも、道なりを進んだだろうし、引き続き私も行くしかないようだ。


 早く追いつく為、スピードを上げて走る事、早10分。

 再び紙切れが氷の下に挟んであるのを発見。


「今度は何だ……落下してから1時間……かゆ……うま……アイツ、楽しんでやがるな」


 右腕の中に眠るカオスが、いつ目覚めても対処できるよう同行させたが、私のストレスが溜まる一方で、失敗だったようだ。


 もし次に紙切れを見つけた時には、右腕をフルボッコにしないといけなくなるぐらい、今の私はキレかけてる。


 さっさと進もうとした矢先、向かい側から小さな光がゆっくりと私の下へと接近し、光の正体が明らかになった。


「およ? 今日はよく魔の者と会うなぁ」

「だ、誰だ貴様は」

「オレか? オレはイエティ、魔ッキンリーの管理者だぁ」


 全身白い剛毛の巨人イエティは、この氷の洞窟に住み、見えない裂け目ことクレバスに落ちた者を、助けたりしてるようだ。

 右腕とヘカトンケイルについて聞いたところ、イエティの家で私を待っていると。


「なるほどな。イエティは私を迎えに来たって事か」

「んだんだ。さ、こっちだぁ」


 イエティに続きしばらく、氷でできた家に着き、中にお邪魔すると、コタツに入りぬくぬくとトランプで遊ぶ馬鹿2人がいた。


「あ、勇者様! 一緒にババ抜きしません?」

「休憩も旅の一つですから、ほらほら」

「お前ら……はぁ……一回やったら行くからな」

「流石勇者様!」


 ガキみたいに喜びやがる右腕は、ババ抜き共々にクソ雑魚だった。

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