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こちら保健室相談部、あらゆる変態たちがあらゆる相談を承ります。  作者: 上道修一
第一章 編隊(変態)! 保健室相談部
3/12

第二話 校舎裏の(変)対談

登場キャラおさらいのコーナー


名前:通称:簡単なプロフィールの順番で書きます!


向井直(むかいなお):直、ナオちゃん:本作の主人公。姉がいない姉萌気質で豊河先輩に「お姉ちゃんになってください」と告白する。


瀬木昏斗(せきくれと):昏斗:イケメンでロリコンで情報通。直の友人。


「ナオちゃんが先輩に告白?」


 ガゴンと飲み物の落ちる音がする。


 サツキ学園の第三校舎裏。授業の途中から教室に入るのも煩わしくなり、二人は一限をサボることにした。昏斗(くれと)は小銭を自動販売機に入れながら聞いた。


「ナオちゃんは一人っ子のくせに姉萌至上主義っていう奇妙性癖だと思ってたんだけど、まさか恋愛する気になったなんてね。驚きだよ」

「恋愛? そんなものする気ないぞ」


 (なお)は昏斗からミルクセーキの缶を受け取る。極度の甘党である。


「でもいま告白って……」


 昏斗の方は緑茶のボタンを押した。取り出し口から引き抜いて、ひとすすりすると、


「僕はお姉ちゃんになってくれと告白したんだ」


 盛大に吹き出した。


「ブハッ、お姉ちゃんに!? ゴホっゴホ」

「吐くなよ、濡れただろ」


 男にしては低めの直と高めの昏斗では身長差があるため、やや下向きに吐かれた緑茶は直の顔にすべてかかった。可愛らしい双眸を細めて顔をしかめる。 


「ハハハッ、お姉ちゃんになってくれなんか言ったの? いやあ面白いねナオちゃんは。姉がいないならお願いして成ってもらおうってことか。あー腹痛い」


 昏斗は腹を抱えて自動販売機を叩いた。


「名案だろ。二次元の姉もそろそろ制覇してきたからな」

「たしかにいないなら誰か探すべきかもしれないね。にしてもお姉ちゃんになってくださいって。どの先輩にお願いしたの?」

「豊河秋穂という三年生だ」

「豊河先輩? 知らないね。この学園の美人や有名人のだいたいは把握してるんだけどなあ」


 懐からメモ帳を取り出した。昏斗は幼児に限らず、美人や学園周辺の情報には詳しい。大抵はそのメモ帳に書き込んでいるのだが、豊河秋穂の文字は見当たらなかった。直はなぜロリコンの昏斗がそんなことを把握しているのか奇妙に思った。


「俺はロリコンじゃなくて成長を観測したいだけなの。成長速度が早いから幼児に造詣が深いだけだって何度言ったらわかるんだい」

「それはどうでもいいが、豊河先輩は飾り気はないが、まちがいなく美人だ」

「俺はどうでもよくないんだけど……写真とかあるの?」


 直はポケットからスマホを出すと写真のお気に入りフォルダを開いた。一人の女子高生の写真が大量に保存されている。しかしどれも被写体がカメラの方を向いていない。


「これだ」

「盗撮写真こんなに溜め込んでて、ナオちゃんもなかなかだね」

「ゆくゆくは僕のお姉ちゃんになる人だ。身内だからいいんだ」

「正当化がすごいな……どれどれ」


 呆れつつ昏斗はスマホに目を落とした。


 栗色の長髪に縁の大きい眼鏡。長すぎる前髪と眼鏡で目は隠れてしまっている。スタイルは服越しに見る限り良さそうだが、制服のサイズが若干合っていないのかあまり印象的に映らなかった。贔屓目に見ても美人とは言えない。


「これはなんとも……地味というか芋っぽいというか」

「お姉ちゃんのことを悪く言うな」


 直が屈んでスマホを見ていた昏斗の頭を手刀で殴った。反動で持っていた緑茶が昏斗の頭にかかる。


「お茶かかっちゃったじゃん!」

「お互い様だ」

「でもナオちゃんのタイプってこんな感じなんだね。もっとわかりやすく母性が合ってセクシーで、なんていうかサキュバスみたいな人だと思ってたよ」

「十分そうだろ。よく見ろ、この写真とこの写真とかこの写真とか――」


(この前ナオちゃんが見てた18禁系の姉萌アニメのキャラはわかりやすくエロエロな感じだったんだけどな。三次元だと好み変わるのかな)


 何度見てもやはり地味に思える。昏斗はロリコンだが美醜の判断には自身がある方だ。以前、サツキ学園の闇サイトで秘密裏に行われた『女子格付け人気投票、サツキ学園統一戦』において上位10位までのランキングを言い当てた実績もある。


(なんにしても、あの好みにうるさいナオちゃんに告白までさせるんだ。ちょっと興味が出てきたな。今度調べてみよっと)


テンションをそのままに徐々に早口になる直の目を盗んで、昏斗はメモ帳の新しいページに『三年 豊河秋穂』と書き足した。


「この目元とか抜群にセクシーだぞ」

「目元って目元隠れてるじゃん……で結果はどうだったの。告白したんでしょ?」

「ああ、それがな。なぜか返事をする前に去ってしまったんだ。これは了承と取っていいのか?」

「たぶん違うと思うよ。そりゃあ見ず知らずの後輩からそんなこと言われたら逃げ出しちゃうって」


 昏斗はやれやれと洋画のように身振りをする。いつでもテンションが一定で表情の変化が少ない直とは対象的に昏斗は表現が豊かだ。

 

「そういうものなのか」

「ま、俺も告白したことないからわかんないけどね。犯罪になっちゃうし」

「ふむ」

「あれ、いまボケたんだけど? おーい」


 直は濡れた髪を触りながら考え込んでいる。これからどうアプローチすればいいか思案しているようだ。昏斗はそんな直の横顔を見て、少し危うさを覚えた。


(ナオちゃんは本気でその告白の何がおかしいのか分かっていないんだろうね。たまに心配になるぐらい素直で実直だから。良いところでもあるんだけどさ)


「……女心は女性にしかわからないって言うしね。ちょうどタオルも必要だし保健室まで聞きに行く?」


 濡れた頭を振って、昏斗は残り少ない緑茶を一息に飲み干した。


「保健室のチジョ先生に」


今回のお気に入りセリフのコーナー


昏斗「これはなんとも……地味というか芋っぽいというか」


 友達の彼氏彼女を見せられたとき、そうでもない顔だったときの反応って難しいですよね。逃げ口上として「優しそうな彼氏(彼女)だね」とか「仲良さそう」とかがありますが、それを言うと気を使ってる感がすごい出る気がします。うーん、もう彼氏彼女の写真を見せる文化を廃止にしよう。


 とにもかくにも変態同士の会話は書いていて楽しいですね。

 

 次はエチエチ回にしようと思います。というかエチエチ教師が出てきます。お楽しみに!


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