表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逆行令嬢の運命  作者: 白銀 アリア
9/28

7.逆行

 ここから、シャルちゃんの波乱の物語が幕を開けます!

 引き続きご愛読して下さると嬉しいです。

『ホワイトリリィ、準備はできた?』

『バッチリですよ、おねー様!』

『では、やりましょうか』

『うん!』

『我は時を(つかさど)りし者ローズマリー』

『我は生命を(つかさど)りし者ホワイトリリィ』

『『我らの名のもとに、時よ戻れ!!!!』』



        * * *



「……さま!」


 誰かの声が聞こえる。

 もしかして、これが走馬灯というやつだろうか。


「……さま、お嬢様!」


 エリーらしき声が聞こえる。


「え…………?」


 目を開けてみると、そこには何回も見たことのあるドートリシュ邸の自室の光景が広がっており、私はベッドに横たわっていた。 

 そして、そのベッドの横には、エリーが立っていた。


 走馬灯にしては声や景色、自分の感覚がハッキリとしすぎている。

 これは、走馬灯なんかじゃない。

 自分の直感がそう叫んでいる。


「エリー!?」

「ええ、はい。私はエリーですよ?」


 なんでエリーが見えるの!?

 だって私は確かに死んだはず……。


「何ボケっとしてるんですか?朝ですよ!」

「朝?私死んだんじゃないの?もしかして、まだ生きてるの!?」


 エリーは不思議そうな顔をした。


「何言ってるんですか?もしかして悪夢でも見たんですか?」

「悪夢じゃないわ!私は確かに、刺客に胸を刺されたわ!」


 そう、私はパーティーで皇女様たちをかばって刺されたはず。


「まぁ、とりあえず髪の毛を()かして差し上げますのでこちらにお座りください」


 言われるがまま、私は化粧台に座った。

 すると、化粧台の鏡には信じられないものが映っていた。


「ねぇ、エリー。私っていま何歳だっけ?」


 鏡には幼いころの自分が映っていたのだ。


「へ?先日、十歳になられたばっかりじゃないですか」


 どういうこと?

 十五で死んだはずが、十歳に戻ったってこと……?

 それか、十五歳までの記憶はすべて夢だったの?

 でも、夢にしてはリアルだったし、刺された時には痛みも感じた。

 じゃあ、今と十五歳までの記憶は、どちらとも現実ということ?

 そんなのあり得るわけがない。


「お嬢様?さっきから難しい顔ばかりしていますよ?」

「えっ、ああ。少し考え事をしていたの」


 何がなんだかわからない。

 だが、とりあえず今の状況を受け入れることにした。

 十歳の頃に逆戻りしたと仮定して、なぜこんなことになったのだろう。

 私を可哀そうに思った神様が時間を巻き戻してくれた、とか? 

 もしそうだったとしたら、あんな人生二度と歩みたくない。


「あ、それより!!明日は遂にデビュタントですね!!」

「え、いまデビュタントって言った?」


 デビュタント。それは貴族に生まれたのなら避けては通れない道、社交界デビューのことだ。

 帝国の貴族令嬢や令息は、十歳になると社交界入りが認められる。

 皇太子殿下の婚約者である私は、一番注目されることになる。


「はい。まさか忘れていたんですか!?」

「あはは……」

「今日のお嬢様、なんか変です」

「ちょっと寝ぼけてるのかも」

「らしくないですね」

「ふふ。ところで、今日の予定は?」


 たとえ、どんな事情があったとしても『シャルロット・デ・ドートリシュ』として、完璧でいなくてはならない。

 十五歳の記憶があるなんて言えば、皆に白い目でみられてしまうだろう。


「本日は、朝食の後に家庭教師がお見えになり、マナーと、帝国の歴史についての勉強。そして午後は明日にそなえて、五時間みっちりダンスのレッスンです!」

「教えてくれてありがとう。頑張るわ」

「はいっ!!」


 とにかく、今できることは全力でやってみよう。

 私は完璧でいなくてはならないから。

 ブックマークと評価、感想もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ