変な保証
「我々は【背中押し】を逃してしまった。どんな情報でも、これからの為に必要だ。だが、お姉さんは【背中押し】が君達二人を揃えたいと言っていた。君が地獄に行けば、君の魂が手元に置けない以上……お姉さんが再び【背中押し】に狙われる可能性は限りなく低い」
なんか、変な保証だな。遠回しに逃げるなとか、脅しっぽい事を言ってるみてぇな感じ。……損するタイプだな。
「我々は今まで【背中押し】にとって既に亡くなっている魂は対象外と判断していた。だが、【背中押し】は君に興味を示している」
あ~そういえば、そんな事も言っていたな。これから俺みたいな魂も狙われるかもしれないなら、根掘り葉掘り強引にでも聞き出したいよな。何、こっちの質問を優先してんだよ、バーカ。超、重要じゃねぇか。
っても、悪趣味なもん理解出来るもんでもねぇよな。
「いっそ、逆なら楽なんだけどな」
精神衛生上も逆なら平和だよなー。
「逆? どういう意味だ?」
「個人的なイメージだろーが、コレクターって呼称のイメージ的に綺麗に並べるとか思う訳。で、その綺麗に統一した本やら蝶の標本の中に別物を混ぜるのは嫌なんじゃね?」
「本? 蝶? 標本?」
あー例えが不味かったか?
「【背中押し】の場合、魂なんじゃね? で、その別物が俺。揃えた魅力つーのは……茶碗と湯飲みのセットがあって、欲しいと思ったけど……湯飲みしか集めてねぇからセットを手に入れるのは諦めたーとかな」
父ちゃんと母ちゃんがワンセットの色違いを揃えてたから例えで出したが……なんか、違う。魂って何に例えりゃ良いんだ?
「成程。有り得るな」
まぁ向こうが納得してくれたから、良いか。
「しかし、コウタ君の考えが正しかったとしても、我々が対象外と判断していた魂に【背中押し】が興味を持ったという事実は変わらない」
あ~そりゃ、そーか。
「何か……奴に興味を持たれたと思うような会話をしなかったか?」
揃えたいとか言われる前って事だよな。男に興味持たれるとか普通は思わねぇよ、面倒くせぇ。
あーでも、確かに最初は俺の事は姉ちゃんの弟。ってぐらいの認識っぽかったよな。頭を撫でられたのも、その延長か?
後……何か言っていたか? えーっと。
「……本当に残念?」
そうだ、あの時。姉ちゃんが顔を上げる……その前……アイツは確かに言った。まさか――。