情報収集って事か
「で? そっちの質問は?」
「ああ。君の印象でも構わないから、【背中押し】の情報が欲しい」
情報収集って事か。【背中押し】が俺に話しかけてんの見てたんだから、聞きたくもなるだろーな。
「あーこれは印象って訳じゃねぇけど、【背中押し】があんたらの存在に近付いているってのは間違いねぇと思う」
「何故?」
「さっき、アンタは俺に触れるって言ってただろ? 俺、【背中押し】に頭を撫でられたんだよ」
「……そうか。そこまで、進んだか」
進んだ? とりあえず、病気が悪化したみてぇな雰囲気で言うのは止めろ。地味にキツいだろーが。
「他は?」
すっげー普通に続けようとするなぁ。
あっ! あ~なんか、わかった。さっきの言葉、無意識に呟いたな? ずっと黙って何か書いてた奴が微妙そうな顔で俺達を見てる。
俺は悪くねぇよな?
「…………」
いや、口だけ動かされても読唇なんて出来ねぇから。
「コウタ君?」
「あっ悪ぃ。ちょっと思い出してた」
嘘だけどな。なんか、下手に聞くと後が怖ぇし……聞かなかった事にしとくか。
あ、無言で頷かれた。そうしとけって事だな、これ。
「えーっと、姉ちゃんの部屋に入って」
俺を見て、可愛いとか言ってたところは無視するとして……確か……。
「アイツが与えるのは少しの勇気。で、アイツに出来るのは後押しだけだ。とか言っていたな」
「言っていた? 会話をしたのか? 他にも何か話したのか?」
だから、矢継ぎ早に聞くなよ。
「出来るだけ思い出した方が良いんだろ?」
「頼む」
一々、頭を下げるのも止めろ。全く、面倒くせぇな!
「姉ちゃんが俺の為に逝けば、素敵な魂になるとか趣味悪ぃ事を言っていて……」
姉ちゃんを狙ってたのかって、思わず手ぇ出したけど……他にも何か言っていたな。
「強引に選ばせたら魅力がないとか……無粋な人達とか……」
今更だけど……もしかして、あの時には冥府の連中が包囲する為に動いてんの気付いていたのか? うっわ、たち悪ぃ。
「……ん?」
そんだけ、たち悪ぃのに……なんであっさり姉ちゃんを諦めたんだ?
「コウタ君? どうした?」
この隊長に跳梁跋扈とか言わせる奴だろ?
「悪ぃ、確認だ。【背中押し】は【包む母親】? とは別の悪趣味なコレクターだよな」
「ああ。【包む母親達】に関しては安心して良い。君達、姉弟が狙われる事はないだろう」
いや、聞きたいのはソコじゃねーよ。でも、逆に言えば……狙われねぇ魂もあるって事だよな? つー事は……。
「アンタらの本題は【背中押し】がどんな魂を狙っているのか。どんな魂なら狙われねぇか。ってとこか」
「っ! ……その通りだ」
その通りって……素直に認めんのかよ。少しは誤魔化せよ。
どこで区切るか悩んで、ここで区切ってみました。もしかしたら、後で長くなるかもしれません。