表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49日+a  作者: 道月 遠
7/14

目から鱗


 扉をすり抜けて俺の部屋に行くと、隊長の他に1人が残っていた。


「コウタ君。希少な時間だとは重々、承知している。だが、君にどうしても確認したい事がある」


「【背中押し】だろ。俺も聞きたい事があったし、丁度良んじゃね?」


 だから、頭を上げろ。


「聞きたい事?」


 お、アンタは先に聞いてくれんのな。どっかの案内人に爪の垢を呑ませてやりてぇ。


「ああ。アイツが姉ちゃんの後ろにいる時……思わず手ぇ出したんだけど……アイツをすり抜けたのはなんでだ?」


「すり抜けた!? 【背中押し】に接触しようとしたんですか!! なんてあ」「記入」


「っ!!」


 びっビビったぁ~。記入の一言で続きを言わせず、黙らせやがった。


 隊長とか呼ばれる奴が唯の生真面目な訳ねぇか、(こわ)


「部下が申し訳ない。確認するが……君の手が【背中押し】の身体をすり抜けた理由は何か? という事かな?」


「あっ……ああ」


 なんつーか、俺が部下じゃねぇからの態度なのな、それ。


「……そうか。これは、推測になってしまうが……【背中押し】は人の魂でありながら、我々に近い存在へと変化しているようだ」


 あー確かに、案内人も消えていたな。


「私はコウタ君に触れる事が出来るが、コウタ君は私には触れられない」


 試してみろって事なのか、右手を差し出された。試してみるか……って、見事にすり抜けたな。


「んじゃあ【背中押し】は壁をすり抜けれるって事か」


 だから、包囲されているとか言ってた訳か。


「いや? それは意識の問題だな」


 は?


「それ、どういう……いや、悪ぃ。アンタの質問が先だよな」


 すっげー気になるけど、俺ばっかり質問する訳にはいかねぇからな。


「構わないよ。壁をすり抜けられる訳がないという個人、個人の意識の問題だ。コウタ君も意識を変えれば、壁をすり抜けられる。空を浮く場合も同じだな。逆に、出来る訳がないという意識があるから、床や地面に立っていられる」


 マジか。


「俺が扉をすり抜けれんのは、開ければ通れると知っているからか」


「それらがあっても、入ってはいけないと意識する所には入れないね」


 死んで1ヶ月以上たったが……目から鱗だな。


「続けて質問して良いなら……後、1つだけ良いか?」


「構わない」


「俺以外の魂を見ないのはなんでだ? 【背中押し】みたいなコレクターと、アンタらみたいな冥府に勤める連中以外にも魂は存在するんだろ? それも意識の問題か?」


「……いや……それは、意識の問題ではないな。生前に魂が見えていなければ、見えない。我々やコレクターが見えるのは、魂にとって特殊な存在だからだ」


 魂になっても、魂は見えないって事か。


 まぁ俺達のじぃちゃん。ばぁちゃんは揃って元気だし……49日まで、後……少し、だしな。


 大丈夫だろ。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ