抵抗感ねぇ訳?
姉ちゃんが起き上がり、布団から動き出す。おもいっきり泣いたから……少しスッキリしたみたいだな。
まっ、あの姉ちゃんが数週間もベッコベコに凹んでた方が変だったんだろーな。全く、変なのに巻き込まれやがって。
「コウタく――お姉さんはどうした!?」
この年で姉弟揃って泣いていたとか、バレるのは流石に恥ずい。入れ違いで助かった。
「隊ちょ――丈郷コズエは!? まさか【背中押し】が!?」
また、ぞろぞろと来たな。
「彼女とは階段ですれ違いました。念の為に数名に護衛させています」
「隊長。彼の葬式に出席していた者の名簿を転記しました。彼の姉以外にも狙われた者がいるかもしれません。確認はどうしますか?」
あ~逃げられたのか。ムカつくほど余裕綽綽って感じだったしな。……アイツ。
「付近の住民の精神状態を確認後、名簿の者も確認しよう。……丈郷コズエの護衛数は?」
「二、三人だったかと」
「では、君も彼女の護衛を頼む。彼女が外に出る場合は声をかけてくれ」
「はい!!」
おいおい。このまま姉ちゃんの部屋で話を続ける気か?
「お前ら……隣が俺の部屋だから、そっちで話せば?」
「…………? ……そう、か? ……あぁ、コウタ君がコウタ君の部屋の方が落ち着くか。移動しよう」
なんか、すっげー間があったな。なんで、俺の為の移動になるんだよ。姉弟でもない女子の部屋とか居心地悪ぃだろーと思って言ってやったのに。
まさか……全員、抵抗感ねぇ訳?
「そうですね。移動しましょう」
また壁をすり抜けるのか。扉から行けよ。ん? そういえば……今まで、生きていた頃の感覚で扉をすり抜けていたけど……俺も壁をすり抜けれたりするのか?
手を壁に向けると、家の壁とは別の何かに隔たれたように、すり抜けれない。やっぱ、ダメか。奴等は冥府に勤めているから出来るんだろうな。