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童話集

河原にて。

作者: NiO
掲載日:2016/09/04

「あああ、最悪」


「どしたん、菊ちゃん」


「あのアホ鬼に、酒飲まされたわ」


「ゲタゲタゲタ、何をいまさら。

 鬼やんが強引やのは、昔から変わらんでしょお」


「あったま痛い。死にたいわ」


「俺もおこぼれもらってんけど。 

 菊ちゃん、ホントにお酒に弱いなあ」


「大声上げんとって、頭がガンガンする。

 あああ。

 くそっ」


「この時期は、仕様が無いかもなあ。

 飲まされる時期、というか」


「そんな時期、放ってまえぃ!」


「ゲタゲタゲタ」


「……彼岸のは、いい顔してるなぁ」


「酒は、好きやし、ねぇ。

 菊ちゃんは、可哀想、可哀想」


「誰か水、くれんかなあ」


「あっちに子供たちが、石を積んで遊んでおるよ。

 声かけてみたら、水くれるかもなあ。


 まあ、川の水やろうけど」


「もうこの際、川の水でもええわ。

 おおい!

 そこの!

 

 ()ぞか、水!」


「ゲタゲタゲタ」


「くそ、誰も、来んぞ!」


「もっと声を張り上げぃ。

 聞こえんのじゃあないか?」


「ああ、ああ。


 面倒くさい、もう良えわ」


「……お。

 鬼やんや」


「鬼やん、超笑顔やん」


「うわ……子供の積み上げた石、壊しとるのぉ」


「鬼畜やわ」


「まあ、鬼やし」


「そおかあ」


「……なあ、覚えとるかあ?」


「何があ?」


「俺たち、あっち側の、向こう側に住んでたんねんで」


「……何を間違って、こっち側に来たんやろなあ」


「さあ、なあ」


「……仲間も、誰もおらんで、寂しいでしょう?」


「ん?

 やあ、別に?」


「そかあ?」


「菊ちゃん、おるし」


「え、や、やあ。


 そ、そかあ」


「そおよお」


「……」


「……」


「わ、私も、彼岸のがおるで、寂し無いよ?」


「そかあ」


「そ、そおよお」


「……お。

 子供が、やってきたぞぉ?」


「ああ、ちょうど良い。

 水、おくれぇ」


「もっと、丁寧に頼まないとお」


「え、えと。

 水、おくんなまし」


「……なんぞ、拝まれておるが」


「なぜえ?」


「ゲタゲタゲタ」


「あああ、団子なんぞ、いらんのじゃあ!」


「ゲタゲタゲタ」


#########################################


 ここは、三途の川の(ほとり)の、賽の河原。


 川の向こうには美しい花畑。


 石を積み上げていた少女は、ふと。


 まるで自分たちを見るかのように咲いている、菊と彼岸花を見つけた。


 ぽつんと咲いているその花を。


 摘んで、持っていこうと近づいた少女だけれど。


 2輪が、あまりにも仲良さそうに揺れるものだから。


 懐にあるお菓子をお供えして。 


 また、石を積み上げることに、したらしい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 品種改良せんと、交配できひんのよ。
[良い点] 美しい文章でした。ありがとう
2019/09/23 17:13 退会済み
管理
[良い点] お花さんたち、可愛いです! 「まんが日本むかしばなし」風の絵柄で脳内再現されました!
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