2 聖女様
あ〜暇だ。どんだけ放置プレイされるんだろ。どんだけ趣向を凝らしてんだよ、俺の憑依先の人は! 俺が一義的に求めているのは、挿入、ピストン、発射、以上だ。シンプル・ザ・ベスト。
トン・トン
あれ? ノック? やっと戻って来たか! 合法ロリ魔女! やっと戻って来てくれたか! 騎乗位だ! 騎乗位だ!
早く俺に跨がり、入れるべきものを入れさせてくれ! 出来れば、二度入れてくれ。そしたら俺は、脱童貞してこう言ってやるんだ! 二度も入れたな! 誰にも入れたことがなかったのに! ってな。嵌ぁむろー!!! で、でも、初めてだから、赤い彗星並に早くても許してくれな……。
って、合法ロリ魔女じゃない……。長い金髪。白いドレス……。後ろから後光が差しているような神々しさ!間違い無い。彼女はきっと聖女だ!
って、いきなりドレスの裾を挙げながら、俺に向かって駆け寄って来る! あくまで貞淑に、上品に! で、でも、泣いてる!
「ど、どうして私をおいて先にいっちゃうんですかぁ〜」
え? 先にイッちゃう? やっぱり、俺は、赤い彗星並に早いのか? 三こすり半なのか!? 早濡れなのか!? しかも、こんな気品漂う貞女が号泣しちゃうほどに……。すぐに果ててしまっても、笑顔で『私も気持ちよかった』なんて言ってくれそうな優しい人なのに——!
「ど、どうして私を貴方の女にしてくれないのですか! どうして私は聖女のままなのですか!」
って、そんなに俺の胸を叩かないでくれ。性生活に不満なのは分かるが、そんなに泣きながら胸を叩かれても、残念ながら俺はMじゃないんだ。でも、俺の左腕に当たっている巨乳の感触はたまらない。柔らかい。弾力ぱねぇ!
それにしても…… 拘束プレイからの放置プレイからのソフトSMなんて、どれだけ高度なプレイなんだ! 俺の憑依先の人間は!
「私は、まだ…… 聖女です……。聖女の力が使えるのです……。お願いします。私を抱いてください……。お願いします……」
聖女の力? それはなんだ? 癒やしの力? 邪気を清浄化? それを今からプレイに使おうってのか? まさか! 俺の邪な欲望を浄化して、俺を賢者モードにしようってのかっ! そりゃないよ! た、頼む。先っちょだけでいいから……。 蛇の生殺しとはこのことだぁ!!!!
「どうしてなのですか? 純潔を失った聖女は、聖女としての力を失う……。でも、私は聖女の力を失っていない! 幾度と繰り返された私と貴方の情事は一体なんだったのです! あの幸せだった交わりは、真夏の夜の夢であったとでも言うおつもりですかっ!」
なるほど、処女じゃなくなると、聖女としての力を失う……。ある意味、テンプレだな。しかし……。やりまくったような言いぐさだしな。もしかして、もう一つの穴を使ってたってこと? 処女であれば良いってものでもないだろうに……。グレーゾーンなのか? いや、グレーホールとでも言って置こう……。
「巫女達も不思議がっています! 確かに、破れてもう無いのに、聖女の力を失っていないのが不思議だとっ!」
うわぁ。でたよ、膜チェック……。中世とかでは結婚の前に膜チェックの儀式があるとは聞いていけど、この世界にもあるのか……。でも、恥ずかしくないんかな? これが異世界と現代の文化的ギャップか……。異世界、思ったより生きにくい世界だなっ!
「貴方は確かに言いました!」
『そんなに聖女の地位がお前にとって重荷か? ならばその重荷から解放してやるよ。だから俺の女になれ』
「私は答えました。『魔王がいまだ健在な状況では、その要求には応じられませんと』。そしたら貴方は、『くだらない。聖女の力なんていらない。俺が今から魔王を倒してくる。そしたら、お前は俺の女になれよ? 楽にしてやるよ』って!」
おいおい。俺はそんなことを言ったのか! そんなの、イケメンで強いやつしか言えない台詞だ! って、そういえば、俺の持っている称号に、『魔王を倒し者』ってあったな……。
「あなたは本当に約束を果たした」
さすが俺! 代打、俺! やるじゃん!
「でも、魔王を倒した貴方は、『お前は俺の女になれよ』という約束を忘れたかのように振る舞っていました。貴方から約束の履行を要求することはありませんでした。神殿の中ですれ違っても、『今日は笑っているな』とだけ言って通り過ぎる貴方! 私にも聖女としての矜持がありました。聖女が約束の1つも守れないなんて民に示しがつきませんでした。そして、決死の覚悟で貴方に問い詰めると、貴方は笑ってこう言いましたね」
『生きて帰れる見込みのない兵士達を、聖女の名のもとに魔王討伐へと派遣していくのが辛かったのだろ? 笑顔で兵士達を見送るお前の顔。俺には、泣いてるように見えたんだ。それが俺は見たくなかっただけだ。あぁ? 約束? そんなの魔王を殴ったら忘れちまったよ。平和になったんだから、さっさと辞表を出して、いままで出来なかったことをやれよ。毎日、お勤め、お勤めだったんだろ? 今から幸せを探しても遅くはないぞ』
「私には、その言葉は青天の霹靂でした。そして私は自分の幸せを考えました。今で、この国の平和のことしか考えることが許されなかった私が、自分の、本当に自分の幸せだけを考えました。そして、思い至ったのは、貴方の側にいること……。だから私は、あの夜、あなたの寝所を訪ねたのです……」
夜這いってやつか……。聖女様が夜這い。できれば、透き通ったシルクのネグリジェ希望! 全部隠れてませんよって感じの!
「それからの日々は、幸せでした。自分が、言葉を知らぬ獣のように叫び、そして力尽きて貴方の横で眠る……。そして朝目覚めれば、また逞しくなっている……。そして交わる。いろいろと教えていただきました。私の口と舌を使っての奉仕。胸を使っての奉仕。兵士を死地に送り込むことでしか国へと奉仕することのできない私に、貴方は奉仕の方法が沢山あるのだと教えてくださいました」
っておい! なんか奉仕の意味がいろいろ混在しているぞ! こっ、これが調教ってやつなのか!? それに、さっきから聖女様がかなり卑猥な発言をしているぞ!!!! 萌えちまうじゃねんか。これが、ギャップ萌えの威力かぁ!
「幸せでした……。でも、私は気付きました。私の聖女の力は失われていないと……。どうして私は貴方に純潔を捧げながらも、未だに聖女なのですか! 教えてください! それに、約束したではありませんか……。私を貴方の女にしてくださると…………。私は、恐いのです。私は貴方を愛しています。そして、貴方には多くの女性がいることも知っています。でも、私も、私も! 私自身の幸せのために、あなたの女になりたいのです。でも…… 私は聖女のまま……。私も、貴方の女になったという確証が欲しいのです。貴方の女にして欲しいのです……」
なるほど、話は分かった。万事理解した。それなら、俺が人肌脱ごう。ついでに、皮も剥こう……。つまり、俺が、この聖女とSEXをすれば全てが解決するわけだ。情けは人の為ならず。これも世のため、人の為、聖女のため、脱童貞のため……。
そして、そのためには、俺の拘束を解いてくれよ! 拘束プレイはもう満足したよ!
「それなのに……。ご病気だなんて……。もう、意識が戻ることもないなんて……。あと数時間の命だなんて……。そんなの……私には耐えきれません!!!!」
えっ? ええええええええええええええええええええええええええええええええ!!