第五話 会長と!? その壱!!
今回は学校です。ついでに新キャラも出ます!
『大きくなったられーちゃんのお嫁さんになるー!!』『ぼくも、まきちゃんのお婿さんになるー!!』
・・・
『麻希、俺は、ずっと好きだった。だから、付き合って下さい!!』
『・・・ま、そこまで言うんなら、付き合ってア・ゲ・ル!』
・・・・・・
『私、好きな人が出来た・・・だから、ゴメン・・・』
『・・・そっか』
・・・・・・・・・
『・・・アタシ、彼氏と別れたんだ・・・』
『・・・』
『アタシね、まだ・・・』
『・・・麻希?』
・・・ん?んん?なんだコレ?
『アタシは、玲の事がっ・・・』
ジリリリリー!!!
「んん〜、ん?・・・夢か・・・」
見慣れた天井が、俺の視界に映り、隣で時間を知らせる目覚ましが、けたたましいアラームを鳴らしている。
「それにしても、変な夢だったな・・・」
久しぶりに幼なじみに逢った為だろうか、幼少から現在(昨日)までの一連の出来事が、駆け足で過ぎて行った、そんな夢。まだ未練でも残っているのだろうか?
「まさか・・・」
思った事が口から言葉になって、吐き出される。今更、麻希に恋愛感情は無い。それは昨日逢った事で感じた事だ。
じゃあ、何故?
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「・・・めんどくさい」
起きたばかりで思考回路に無理をさせる事はしない。いちいち考えていては、頭が痛くなる。
とりあえず起き上がり、いそいそと着替える。今日は生徒会執行部と鳳翔祭実行委員の合同会議がある・・・なんのことはない、単なる『今回の鳳翔祭はどんなテーマで、どんな事する?』って話し合いみたいなものだ。
「あ〜行きたくね〜!!」
と、誰もいない部屋で愚痴る。・・・なんか、虚しい。着替えを済ませ、適当にトーストと牛乳で腹を膨らまし、俺はチャリで学校へと向かうのだった。
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相変わらずでかいな、うちの大学は・・・。敷地面積、約東京ドーム四つ分・・・ってうちの学長が自慢げに言ってたな。
鳳大学は、馬鹿でかい敷地にビルのように建物がいくつもあり、更にグラウンドは陸上・サッカー・野球とそれぞれある。スポーツ強化大学としては、日本でも有数の学校らしい。俺はいくつもある建物の中でも、とくにでかい建物の中に入る。
総階数12階建てのこの高い棟は、執行部と限られた生徒・講師しか入る事が許されない。
「失礼します!」
玄関から入り、専用のエレベーターから、生徒会室のある11階へ上がり、荘厳の一文字で片付ける事の出来る重そうな扉にノックし、返事があってから中へ入る。
「おはようございます、会長」
「おはよう、更科」
まだ誰も来ていなかったようで、迎えてくれたのはこの大学の生徒の代表である、鷹峰未菜会長だった。
「更科、日に焼けたようだな」
「あ、先日海に行ってたので」
「そうか、海か」
・・・俺に視線を向けるでも無く、会長は外を見ている。
正直、俺は会長が苦手である。
成績は常にトップ、頭の良さもさることながら、その美貌も他の女性に比べて群を抜いている。
日本人離れしたプロポーションは、高い身長でより一層のスタイルの良さを引き立たせ、顔は正に『絵に描いたような』美しさ。
髪は少し赤みがかった艶のあるブラウンで、二重ながら切れ長の瞳は、『切れ者』を象徴するよう。全てが完璧、言葉通り『生徒代表』である。更に言えば、家柄は国内でも有数の貿易会社の社長令嬢。昔は元華族だったらしい。全てが完璧、非の打ち所の無い・・・。だからこそ、生徒は彼女に近寄る事を躊躇う、俺も例外に洩れず、その中の一人だ。
「そ、それにしても、みんな遅いですね。会議まであと5分もないですよ」
「あ〜その事なんだが、実は会議は昼からに変更 になったのだ。連絡しようにも、私は更科の電話番号を知らなくてな・・・ごめんなさい!!」
「あ、い、いえ!!」
頭を下げる会長に恐縮する俺。でもなんか、ごめんなさいって所が、彼女の性格を表しているようだ。
「更科」
「は、ハイ!」
「その、更科は、彼女とか、いるのか?」
「は?え、いや・・・いません」
「そ、そうか・・・」
「会長は、彼氏とかいないんですか?」
「い、いない・・・」
すげぇ・・・質問を返しただけで、会長の頬がピンクに染まっていく。彼氏はいなくても、きっと好きな人がいるんだろう。それにしても会長の好きな人って、どんな人だろう?
「・・・」
「・・・」
現在午前10時5分。会議開始まであと3時間近くある。やる事も無く、俺は椅子に座り、ぼーっと窓の外を見ている。いつもながら、なんの変化も無い。
「更科」
「ハイ!」
「・・・その、お腹とか、空かないか?」
「え、まぁ朝はそんなに食べてないから少し空いてる・・・かな?」
「そ、そうか。実は私も少しお腹が空いているんだが・・・その・・・」
なんか恥ずかしそうに俯きながら、モゴモゴ言ってる。
「どうかしました?」
「いや、その、だな・・・実は、ハンバーガーってヤツを食べてみたくてだな」
「え、えぇぇっ!?会長、食べた事無いんですか?」
「・・・そ、そうだ。それで、一緒にハンバーガーショップへ行って、もらえない、かな?」




