第十四話 買い物へ行こう!!
物語もいよいよ佳境へと突入しました。タイトル“海人!!”とは少しストーリーとして外れてしまいましたが、今後の展開として、タイトルに合った物語を執筆する予定です。もうしばらくお付き合い下さい!!
大催事場を離れ、向かった先には・・・。
「お、俺はここで待ってる・・・」
「そう?一緒に来ればいいのに」
「更科さん、心中お察しします・・・」
鮎美、わかってくれるだけでも嬉しいよ・・・。俺が二人に連れて来られた場所−−−
《3階 女性用ランジェリーコーナー》
女性用下着売り場なんて、男子禁制という暗黙のルールが出来上がった場所じゃないか!!
「し、下の階にいるから。何かあったら携帯に連絡して」
「え〜!?せっかく選んでもらおうと思ったのに・・・」
「「少しは恥らえ!!」」
UWAO!!鮎美と見事にハモったよ。男心がわかってるね!
「わ、わかったわよ・・・」
うなだれる鮎華。な、なんか悪い事したかな?って感じになるが、鮎美が(任せて!)アイコンタクトで促す。よってこのフロアを離れ、下の階へと足を進めた。
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《メンズカジュアル&雑貨》
たいていこのデパートに来たら一度は立ち寄る場所。中でもこのフロアでお気に入りが《メンズカジュアル Ren》。リーズナブルな価格ながら、中々センスの良い商品が揃っている。
「いらっしゃいませ。お、久しぶり!!」
「ういっす、香川!」
出迎えてくれた若い男の店員は、高校時代からの友人である香川雄介。高校卒業を期に、この店に就職。今は店の責任者にまでなっている。
「珍しいな、今日は一人か?」
「ん〜、いや、連れが上の階にい・・・」
♪〜♪〜♪〜
「お、悪い。電話だ」
もちろん、電話の相手は鮎華からだった。沙夜梨さんと合流したから、今から下の階(俺のいる場所)に来るそうだ。
「連れか?」
「ん。今からこのフロアに来るって」
「そうか」
待つ事数分。上の階から海凪三姉妹がやって来た。・・・なんか、フロア内の男性客が色めき立っている。
「連れって、あれか!?」
「ん、ああ」
「すっげえ美人だな、な!!」
食いついたな。
「あ、更科さん!お待たせ!!」
鮎華の一言で、視線が一斉に俺へと・・・。
「香川・・・」
「ん?」
「殺気が・・・」
「俺を含めてな」
香川、お前もか!!!!
そんな冷や汗ダラダラ状態の俺を知ってか知らずか、三人は俺の元へ。さっきまで恨めしげな顔の香川も、さすがに近づいて来る三人の姿に見惚れていた。
「買い物終わったよ」
「私も!」
「私も」
三人とも紙袋を手に提げている。ってか沙夜梨さん、買い過ぎ!!
「フフッ、少し買い過ぎたかしら?」
両手に大量の紙袋・・・さすが。
「更科、更科!」
香川、わかりやす過ぎ・・・
「紹介するよ。こいつは香川雄介。同じ高校の友人」
「よろしく!」
「んで、こちらが海凪さん」
「沙夜梨です」
「鮎華です!」
「あ、鮎美です!!」
簡単な自己紹介を済ませ・・・あれぇ〜!?
「(鮎華、鮎美の顔・・・)」
「(うっわ、すごい真っ赤!!)」
「(ウフッ、あれは一目惚れねぇ)」
「「(マジ!?)」」
「(伊達にお姉ちゃんやってる訳じゃないのょ)」
た、確かに・・・。なんかぼーっとして真っ赤になった顔をしてる鮎美を見れば納得!!
「ふぃー、にしても疲れたわぁ」
「そりゃ、そんだけ買い込めば重いだろ!」
鮎華も鮎美も例に漏れず、両手いっぱいの紙袋。
「あ、台車使うか?」
「オゥ、頼む!」
良い所に気が付いたな、香川!!
「新城、少し抜けるから店頼むわ!」
「あ、了解です!!」
新城と呼ばれた俺よりも少し年下の男の子が台車を持って来て、買い物した三人の紙袋を台車に載せる。総合13袋・・・買い過ぎだょ!!
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買い物袋をトランクに詰め込み、俺は運転席のドアに手をかける。
「鮎美〜、行くわよ!!」
鮎華が鮎美に声をかけて・・・ん〜?
「ごめん!さ、行こうか!!」
携帯を握り、真っ赤になった顔で少し緩んだ表情の鮎美。はっは〜ん!
「よかったねっ、鮎美!」
「うん!!・・・えっ!?」
「アハハッ、わかりやすいねぇ!!」
「ンフフッ」
「ちょ、違っ・・・」
慌てて否定する鮎美だが、誰の目からも“恋する女の子”以外の何者にも見えない。青春だね〜。
「まぁまぁ。買い物も終わったし、んじゃ海凪家へと行きましょう!」
「オーッ!!」
「フフッ」
「う〜・・・」
三者三様の反応・・・まともに乗ってくれた鮎華、ありがとう!!
「ところで、更科さんは買い物したの?」
・・・・・・
・・・
「あ、忘れてた!」
「「「更科さん(くん)って、どっか抜けてる・・・」」」
そこだけハモんなよ!!




