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海人!!  作者: 矢枝真稀
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第十三話 特技!?

鳳翔祭、長々と執筆してきましたが、なんとか終わりを告げ、今作から通常通りのストーリーを執筆していきたいと思います。

盛況の内に、鳳翔祭は幕を下ろした。現在、自宅で人数分の朝食を作っている・・・人数分!?



「海凪さーん、琉依さーん、朝食できましたよー!!」

「んん〜ん・・・おはよ」

「おはようございます・・・」

「おあよ〜・・・」

「あら、おはよぅ!」



上から順に、琉依さん・鮎美・鮎華・沙夜梨さんである。

昨夜で宿泊施設は閉まり、足の無くなった海凪三姉妹が我が家に泊まりに来た。

その後、商品券とビニールいっぱいに入ったアルコール類(ビール・酎ハイ・焼酎)を持って乱入した琉依さんを含め、合計5人で酒盛り(半ば強引に)が始まった。

元来酒には強い俺だが、琉依さん・沙夜梨さんのツートップには敵わなかった。

もはやウワバミ状態・・・早くにダウンした鮎二人(鮎美は飲まなかった)を客間に敷いた客用布団に寝かせ、後はウワバミ二人に散々飲まされた。解放されたのは午前2時を過ぎた位・・・。二日酔いにはならなかったが、さすがに寝坊した。現在午前10時、いつもなら8時には起きてるはずだったが、今日は無理だったよ・・・。もっとも、全員まだ寝てたのがせめてもの救いだったけど・・・。



「適当に座って食べて下さい」

「「「いただきま〜す!!!」」」

「いただきます」



賑やかな朝食・・・な、訳が無く、二日酔い状態の二人と寝ぼけ状態の鮎二人。しばらくは無言であった。







→→→→→→→→→→→→






「ごめんなさいねぇ。わざわざ送って貰う事になってしまって」

「いえいえ、全然大丈夫ですよ!むしろ特別コンテストに参加してもらって。こっちが感謝したい位ですから!!」

「あ!そうだ、更科さん!!」

「ん?」



後部座席に座っていた鮎華が、思い出したように声をあげた。



「時間とか、まだ大丈夫ですか?」

「時間?そりゃ今日一日暇だけど」

「あの、出来ればこの商品券が使える所に寄りたいんですけど」

「鮎華、我が儘は・・・」

「あぁ、いいよ!!」

「本当!?よかった〜・・・せっかく商品券もらったけど、うちが住んでる所じゃ使えないし、こんな時じゃないと街なんて来れないから・・・」

「あぁ、成る程ねぇ。んじゃ、少し寄り道してデパートに行きましょうか!!」

「「異議なーし!!」」



賛同する次女三女。長女の沙夜梨さんも、さすがに困惑していたが、

「お願いしますネ」と言って頭を下げる。



そんなこんなで、少し寄り道・・・!







→→→→→→→→→→→→






《仲神デパート》



地下駐車場に車を停め、エレベーターで本館1階中央広場ヘ。各フロア毎に決まった商品が置いてあるので、三人の欲しい商品があるフロアを、上の階から順に探してみる事にした。










《本館7階 大催事場》



毎月、本館7階大催事場では、県外(地元熊本以外)の物産と観光展が開催されており、今回は

「北海道の物産と観光展」である。平日でありながら、中々の盛況ぶり・・・熱気が、凄い!!!



「な、なんか暑い・・・」

「そ、そうだね・・・」



真夏か!?ってくらい、フロア全体が熱気を帯びていた。俺達の視線の先には・・・



「ちょっと!それは私が買った品物よっ!!」

「キャッ!?誰よ今押したのは!!」

「お客様、混雑しますので、一列にお並び下さ〜い!!」



とある出店(花波製菓)の前には、沢山のお客さん(大半はおばさん)で混雑していた。あぁ、これだよ・・・きっとこのおばさん達の熱気で気温が上がってるんだ・・・。



「すっごぃ行列!!」



確かにな。花波製菓っていえば、確かデパートの広告に載ってた・・・なんか熊本初出店らしく、北海道ならではのスイーツが販売されてるとか。



「本日の限定商品は富良野ハスカップレアチーズです!!限定なので早い者勝ちですよ〜!!」



なぬ!?レアチーズ!?しかもハスカップ!?限定!?ヤ、ヤバイ・・・無類のチーズ好きの俺には喉から手が出る程のプレミア商品・・・しかし、ここで勝手に行動したら海凪三姉妹をほったらかしにする事になる・・・。



「更科くん、どうかしたの?」

「い、いやぁ限定のチーズケーキがおいしそうだなぁ・・・なんて思ったんですけど、さすがに限定だから買えないだろうなぁ・・・なんて思ってました」

「あら、じゃあちょっと待っててねぇ」

「あ、えっ!?」



フフッと笑った沙夜梨さんは、群がるオバサンの中へと消えていった。だ、大丈夫か!?




数分後−−−




「おまたせ、ハイ!」

「え?・・・アッ!」



未だ群がるオバサン連中の中からスッと出て来た沙夜梨さんの手には、紙袋が。


「え、いつの間に!?」

「フフッ、な・い・しょ!!」

「あれはさよ姉の特技だよ。バーゲンとかの人が群がる中に入っては、目玉商品とか買ってくるの!」



地味にスゲー!!!!



「ウフフッ、これは私からのお礼。更科くんにはお世話になったから!!」

「い、いえ!払いますよ!!」

「「そういうのは素直に貰っとくもんだよ!」」



何気に突っ込む鮎華と鮎美。完璧なハモりだよ。



「フフッ、遠慮しないで。私からの気持ちよ」

「じゃあ、ありがとうございます!!」



手渡された紙袋は、ずっしりと重くて・・・。



「いくつ買ったんですか?」

「ウフッ、三つ!」



そんなに!?この短時間に一体どんな技を!?!?



「さて、と。じゃあ私はこのフロアで両親のお土産を探すわ。鮎華と鮎美はどうする?」

「ん〜別行動でもいいよ」

「ん、私も」

「じゃあ、更科くんに二人をお願いしていいかしら?」

「OKです!!」




このフロアで沙夜梨さんと別行動する事になり、携帯で連絡を取りながら、鮎二人と共に別フロアへと足を向けるのだった。

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