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海人!!  作者: 矢枝真稀
18/33

−−− 鳳翔祭最終日!!中編その壱!

今回は短いです。

最悪な暇潰しになったよ・・・原因?それは目の前で説教じみた講義をたれる美人研究員を見ればわかる!!教授でもないくせに、まだ習ってもいない講義を専門用語バリバリ使って講釈する塩沢姉さん。

当然、俺と鮎華の頭の上に?マークが並んでいるのは無理もない。隣の沙夜梨さんは微笑むのみ、鮎美は・・・?



「それじゃこの・・・」

「そろそろ時間になりますよっ!!」



鮎美〜っ!!それ以上は質問するのやめて!!もはや睡眠と説教と退屈のエンドレスになるからっ!!!!



「む、もうそんな時間か。出来れば海洋生物科学の講義もしてやろうと思ったのに・・・」

「次回でっ!!」



聞いてられるかっ!!ったく、どうせまた、正月とかに酔っ払って講釈するじゃん!!



「玲、正月に覚えてろ・・・」

「ヒッ・・・!!」



ニヤリ・・・と、不敵な笑みを浮かべ、俺の肩に手を置く。特に重いって訳じゃない・・・ただ、無性に怖い!!思わず肩がビクッとなったよ・・・。



「なんだ、美人に肩を触られて嬉しいのか?」

「まさか!!」



慌てて否定!!不気味な笑みを浮かべたままの琉依さんと海凪三姉妹を連れて、俺はステージ裏の準備(控え)室に向かうのだった。




→→→→→→→→→→→→






《ステージ裏・控室》



「特別コンテスト参加者の方は右手の控室にお願いしま〜す!」

「じゃあ、また後で!!」

「せっかくのコンテストだ、狙いは優勝だな」



控室に入る直前に言った琉依姉さん・・・確かに優勝候補の筆頭だろう。しかし、あんた優勝する前に彼氏の一人や二人くらい作れよ。毎年それでおばさんにいろいろ言われてんじゃん。



「れ〜い〜・・・!!」

「じ、じゃあ!!」



自分の参加するコンテスト控室に急いで入る・・・ってか逃げる。全力で怖かった!!いや、恐かった!!



「更科、マジで優勝を狙え!!」

「いや、無理でしょ!?」

「フフン、今回の衣装はスゴイからな。・・・これだ!!」

「マジ!?」






→→→→→→→→→→→→






さて・・・む、私の視点か!自己紹介は名前だけでいいか?私は塩沢琉依。彼氏はおらん。私の周りにはナヨナヨした軟弱者しかいないからな。それにどちらかと言えば、私は彼氏よりも嫁さんを希望したい・・・別に同性愛者ではない、家事一般が苦手だからな。そういった事が出来る男性と結婚したいもんだな・・・って、少し喋り過ぎたな。

私は今、特別コンテストの控室にいる。仮に造られたプレハブだが、中は意外と広く、私を含めて30人近い参加者が壁一面に貼られた鏡に自分を映し、丹念にメイク中。しっかし・・・皆美人揃いだな。







うっわー・・・スゴイ!!みんな美人ばっかり!・・・ん?なにコレ?私視点!?

あ、はじめまして!海凪鮎華です。今回、更科さんのお願いで特別コンテストに出場する事になったんだけど・・・。



「さよ姉・・・」

「ん?」

「みんな美人ばっかり・・・」

「そうねぇ」

「今からでも、参加取り消す事出来ないかな!?」

「さぁ・・・仮に取り消す事が出来たとしても、それは更科くんを裏切る事になるわよ」

「うっ・・・!!」



そうだった・・・。そんな事をすれば更科さんに迷惑がかかる。それだけはイヤ!!だって・・・



「鮎華、私が言うのも何だけど、自分の気持ちに正直になりなさい」

「・・・・・・」



私の心を見透かしたように、さよ姉は優しく諭す。何も言えない私を、さよ姉も黙って微笑むだけ・・・やっぱりさよ姉には叶わないなぁ。

自分だってわかってる。私は生まれて初めて“一目惚れ”したんだ。あの日、まだ暑さの残る海で・・・。




更科玲という男性ひとに・・・。




→→→→→→→→→→→→




《特設ステージ》



『さぁ、鳳翔祭もいよいよ最終日となりました!!そして今回はお客さん参加型の特別コンテスト“美人・美少女コンテスト”を開催したいと思います!!みなさん、盛大な拍手でお迎え下さい!!』



ステージ裏まで聞こえる司会者の声。いよいよ今回の鳳翔祭特別イベントが始まる・・・。










歓声と盛大な拍手が会場内を包み、トップバッターがステージへと上がるヒールの音が、喧騒の中に響いていた・・・。

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