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朝、制服に着替え、食堂へ向かう。
「おはようございます。お父様、お母様、お兄様。」
「おはよう、小百合。」
「小百合ちゃん、おはよう。制服可愛いわね。」
「おはよう。」
お父様、お母様、お兄様と挨拶をする。朝は基本的にみんなでとる。
我が家は基本的に和食だ。今日のメニューはご飯、みそ汁、焼き魚、だし巻き卵焼き、漬物、お豆腐と、朝は割と軽めだ。料理は一流の料理人によるもので味はとても美味しい。特にだし巻き卵!前世の記憶でも、この6年間でも我が家の板前さんのだし巻き卵以上に美味しいのは食べたことがない。
食事を終え、車で学校へ向かう。帰りは別だが、行きはお兄様と同じ車だ。
「小百合、今日は櫻凛会の顔合わせだな。緊張してるか?」
「ええ、少し…」
お兄様も勿論櫻凛会のメンバーであり、6年生となった今、副会長になったらしい。
「大丈夫だよ、小百合なら。」
「何を根拠に?」
「俺の妹だから。」
お兄様はサラッと恥ずかしいことを言う。
「…ムー、もう、お兄様ったら…からかわないで。」
気恥ずかしくて顔を背け、頬を膨らます。
「ごめん、ごめん。拗ねないで。学校、友達たくさんできるといいな。」
お兄様はポンポンと私の頭を撫でた。できなくてもいいんだけどね…どうせ家柄目当てで集まってくるだけだろうし。仕事に子供使うとかどうなのよ?とも思うけど。そんなの表面だけの付き合いで仲良くなんてなれるわけないしさ…
「博臣様、小百合様。到着いたしました。」
運転手さんがドアを開けてくれる。
「行ってらっしゃいませ。」
「行ってきます!」
元気に挨拶してクラスへ向かった。
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私のクラスには運のいいことに藤堂薫も龍崎隼人もいなかった。
初等部の、入学人数は105人。35人クラス3つである。105人の中から選ばれる櫻凛会のメンバーはたったの4人。勿論、みんなの憧れ・注目の的だ。
とりあえず自分の席につく。私の前世のモットーは“来る者拒み、去る者追わず”…んん?来るもの拒んだら、去る者いないな…まぁいいや、細かいことは気にしない。とりあえず、私のモットーを“来る者拒まず、去る者追わず”に変えることにしたのだ。よって、自らは動かない。無駄な行動はとらない。うん、省エネでいこう。
ふふふ…私の18年間で習得した上位スキル〈人間観察〉でも使うか。これによって、クラスの力関係はだいたいわかるだろう……
「あのう…ごきげんよう。西園寺様。」
お魚くわえたどら猫〜追いかけ〜て、裸足で駆けてく〜愉快な……
ワカメちゃん!短いボブをきれいに内側に巻いた少女…ワカメちゃんそっくり…あっ挨拶、挨拶。
「ごきげんよう。初めまして。」
キラキラな営業スマイルで挨拶する。我ながら完璧、いい笑顔…なんてね。
「わたくし、安東若菜といいますの。父がお世話になっております。よろしくお願いします。」
あー、なるほどね。ワカメちゃんーー違った、ワカナさんはお父様のしごと関係の人ね……親に仲良くなれとか言われたんだろうな。
「ワカナさん、なまえで呼んでくれて構わないわ。」
「はい、わかりましたわ。小百合様。」
「ごきげんよう。」
「ごきげんよう。」
「ごきげんよう。」
ワカメちゃんと話しているのを見た女の子たちが私の周りに集まってきた。…みんな自己紹介してくれたけどそんなに一気に無理だから!覚えられないから!私の周りには人垣ができている…すごいなハーレムだよ…(私が男ならね)
どうやら、取り巻きを獲得したらしい。
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キーンコーンカーンコン キーンコン カーンコン
チャイムがなりみんな席につく。やっぱり受験が、あるだけあり小学1年生とは思えないほどしっかりしている。思はず感心してしまう。
担任が、教室に入ってきた。感じのいい男の先生。年はそこそこ、30代前半くらいで引き締まった体つきでスーツが似合う。ただ、熱血そうなのがめんどくさそうでイヤだ。
1限目は自己紹介。2限目は学校案内。3限は先輩がたからの歓迎会で全校集会。
4限クラスの係り決め…
「じゃー、誰かクラス委員長やりたい人いないか?」
担任の一言目…え?いるわけないでしょ。そんなめんどそうなの。いたら変人だから。
「そうか…なら西園寺さん、どうかな委員長?」
誰かに名指…いきなり。ん?…えっ、私…とりあえず断ろう。そんな無駄に働くのイヤだもん!
「先生、せっかくの推薦ですが、わたくし櫻凛会の仕事もありますの。今回は、自体させていただきますわ。」
「そうか…なら、副委員長だな。よし、委員長誰かやりたい人。」
あの…私、やること決定なんですか…わかりましたよ。この人何言ってもダメそう。諦めよう。結局私は副委員長。委員長には男の子に決まった。はぁ…
無事(?)1日目の授業は終了した。