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今日は櫻凛学院の入学式。
ええ、勿論受験受かりましたとも。受からなかったらやばいでしょ?一応、18歳、高校卒業までの記憶あるんだもの。小学校落ちた時にはもう恥ずかしくて部屋からでれなくなる。とは言っても、記憶がなくてもお受験塾と家庭教師のおかげで普通に受かっていたと思う。まぁ、ここだけの話…どんなにテストできなくても、きっと裏口入学できたと思うけどね。
制服に着替える。櫻凛学院の女子の制服は、夏服はワンピース、冬はブレザー。ワンピースは初等部が淡いピンク色、中等部が薄い水色、高等部が白である。初等部のみ形が違い、中・高等部は同じデザインだ。初等部は胸のあたりで切り替えがあり、スカートはふわっと少し広がる形のオーバーワンピで、初夏は長袖、真夏には半袖の袖が丸く絞られているブラウスと組み合わせて着る。前にボタンがあり、着替えやすくなっている。初等部の男子の制服は、夏はカットシャツの上にグレーのベストとグレーの半ズボン。半ズボンはサスペンダーを使う。冬服は、男女お揃いのグレーのブレザーに男の子はグレーのズボン、女の子は落ち着いたグレーベースのチェックのひだスカートだ。
中・高等部の制服は男女全く違う。中・高等部の女の子のワンピースは初等部のふわっとしたデザインと異なり、ウエストをきゅっと絞り綺麗なラインが特徴だ。女子は黒のブレザーにグレーのひだスカート、赤のリボンと、とても落ち着いた上品な印象を受ける。有名デザイナーによるこの制服はとても人気が高い。
男子の制服は学院卒業後将来スーツを着て働く人が多いため、スーツを着こなせるようにと黒のスーツ(オーダーメイドのブランド品)に黒のベスト。ネクタイはお任せである。(個人のセンスが問われる。)男子の制服は他校からも評判で、よく雑誌にも取り上げられる。
とりあえず制服を着て、車に乗り込み学院へ向かう。久しぶりにお母様とお父様と一緒だ。二人ともとても嬉しそうだ。それもそうだろう。櫻凛学院はエスカレーター式、初等部に受かれば大学まで行ける。それに、櫻凛を卒業すればそれだけでステータスになるのだから。
私は車の中で緊張していた。もしかしたら…もしかしたら…龍崎隼人も藤堂薫もいなくてなんて少し期待している…たぶんその期待は裏切られると予感しながら…
私が初等部6年間でなすこと。それは、取り巻きの手綱を握ること。もしかしたら結菜は中等部から外部生としてくるかもしれない。ゲームは高等部だったがイレギュラーが起きることも予測しておいたほうがいいだろう。たぶん、取り巻きを作らないのは無理だ。できればそうしたいが、両親の仕事関係のご子息を無下にしては西園寺家の名に傷がつく。取り巻きとはあまり関わらず(できるだけ、最大限)私の一言で黙らせられるよう、私の力を証明しよう。
さぁ、いざ入学式へ!
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学院に着いて、唖然とした。すごすぎる。私もそうだがこの学校は生徒全員が金持ち。そのことは知っていたが、ピカピカの外車が校門の前までに並んでいる。
これから新しい生活が、戦いが始まるのか。
「小百合ちゃん、おめでとう。お母様は嬉しいわ。合格しただけじゃなくて、小百合ちゃんは櫻凛会のメンバーなんだもの。」
そう、櫻凛会はいわゆる生徒会のようなもの。櫻凛会のメンバーは入学式の時にメンバー証明のバッチが授与され、初等部から高等部まで引き継がれる。途中で入れ替わることもなく、初めのメンバー、純粋な櫻凛の生徒で構成される。メンバーは、各学年4、5人。学力よりも家の力で決められるらしい…メンバーに選ばれた子の家から多額の寄付金があるとか。つまり、大人の事情なのだろう。
この、櫻凛会メンバーバッチは桜の花のモチーフでバッチ自体はプラチナ、雄しべの部分にはダイヤモンドがちりばめ大変美しい。バッチの裏には入学した年とイニシャルが彫り込まれている。(バッチごときにいくらかけてるんだよ…本当に、金持ちスゲー…元庶民には理解しがたい。)
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入学式が始まる。
国歌斉唱。校長の式辞。在校生代表の式辞。
櫻凛学院のメイン…
「櫻凛会任命。」
今年の、メンバーは私を入れて4人。その中には藤堂薫と龍崎隼人もいた。あー…関わんないの無理じゃん。はぁ…
私達は壇上に上がり胸元にバッチをつけてもらった。本当このバッチきらきらしてる…
入学式は無事終了した。明日からピカピカの一年生だ!