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んん…ここは?ああ、私…小百合はの部屋か。やっぱりゲームの中なのね。夢ではなかったのか。
私はベットに寝かされている。額の上にはぬるくなったタオルが置かれていて、パジャマにも着替えさせられていた。お手伝いさんは帰ったはずなのに…
誰かが手を握っている。照明が落とされていて暗くてよく見えない…誰?
「小百合?目覚めたの?大丈夫?」
「えっ…お兄様。」
「覚えてないの?夕飯の時間になっても来ないから、呼びに来たら涙流しながら倒れてて熱があったんだよ…ごめんな…具合い悪いの気付いてやれなくて…」
「ごめんなさい。」
「なんで謝るの?小百合は悪いことしてないよ。」
「お兄様に迷惑かけちゃったから…」
「迷惑なんて思ってないよ。俺たちは兄妹なんだから。」
えっ…お兄様は小百合のこと嫌いじゃなかったの?
「お兄様は…お兄様は…小百合のことお嫌いじゃないんですか?」
あっ…言ってしまった。びっくりしたから思はず聞いてしまった。バカだな私は…なんで聞いたんだよ。本当にバカだ…聞いたのに真実を知るのが怖くてお兄様の顔が見れないよ…どうしよう。涙が溢れてくる。
「小百合。そんなことないよ…ごめんな。お前のことは可愛いと思ってる。もう直ぐ小学生だろ?お前は甘えん坊で我儘だから、このままだと周りに溶け込めないか心配で…だから少し距離をおけば直るかと思って…」
お兄様は私の頭をポンポンとなで、涙を優しく拭ってくれた。嬉しかった…ただ、嬉しかった…お兄様がそんな風に考えてくれたことが。
「お兄様、小百合は…いい子になるから…いい子になるから…」
「うんうん。わかった、わかったからもう泣くな。大丈夫だから、今日は寝よう、な?僕はここにいるから、ね?」
「はい…おやすみなさい、お兄様。」
「おやすみ、小百合。」
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お兄様は私のことを可愛いと思ってると、言ってくれた。
これが本当に『初恋』の中であれば、私のせいで最悪、西園寺家は破滅する。仕事が大好きで毎日頑張って働いている両親から仕事を奪い、お兄様の人生をめちゃくちゃにする。最悪でなくても、家族の人生をめちゃくちゃにしてしまう。私が悪いことをしたなら自業自得。だけど、私にもたらされるこのままだと起きるかもしれない将来は家族も巻き込んでしまう。
私が小百合として生きてきたこの6年間…家族のことはとても大切でかけがえのない存在だと思っている。それは前世の記憶を取り戻した今も変わらない。私は大切な家族を守りたい。ううん、守らなければならない。絶対に。
西園寺小百合、ここに誓います。破滅エンドを全力で避け、家族を守ります!