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早春エバース  作者: ならさき
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エースの決意

俺はグラウンドに立っていた。

プレートに足をかけてホームベースの奥にいるキャッチャーにボールを届ける。

それが高校生である俺の仕事だった。


この仕事で日本一を目指す。


それが俺の夢だった。


「痛ェ……くそっ……くそぉぉぉぉぉぉおお!!!」

診断されたのは『リトルリーガーショルダー』。ボールの投げすぎによる肩の骨折。

俺の肩は、もう上がらなくなっていた。


俺の日本一への夢は完全に途絶えた。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「見るだけ……見ておくだけ……」

高校生活初日。俺の足はグラウンドの方へと勝手に向かっていた。

長野県の北にある高校。私立、北的場(きたまとば)高校。決して野球は強くないが、スポーツに特化している高校だった。

やっぱり諦めきれない。日本一への夢は。でも……


「……もう俺は野球ができないんだよなぁ」

「えっ、なんでさ。」

「なんでって、肩の故障で……って、ええええええええええ!?」

隣にいたのは練習用の白ユニフォームを着ていた小さい男。ショートカットのいかにも小学生という感じだった。

「へぇ。君、肩の故障で野球ができないんだ。」

「……そうです。もうボールを投げることさえできないんですよ……。」

隣にいる男(男の子)は一息「ふーん」とうなずく。

「じゃあなんで野球部のグラウンドに来たの?」

「それは……」

決して諦めきれなかったなんて言えない。こんな負け犬のような人生。他人に聞かせて何になる。


「……やっぱり諦めきれなかった?」

「えっ……?」

俺の答えを見透かしたようだった。まるで俺の立場になったように。


「わかるよ、その気持ち。僕も去年までそうだったから。」

「あなたもどこか故障を?」

「詳しいことはグラウンドで話すよ。さあ、入って。」


俺は誘われるがままにグラウンドへ入っていった。



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