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51. トレドマド入場

出国許可証の他に「入国許可証」が必要だと知れたのは、トレドマドまであと2リーデほどに迫り近づいたときだった。

ローエンは狼狽した。入国できなければ公演の計画はだいなしになる。


そこでラヤロップが〔透明化〕による書類の窃盗を提案し、アルシャマはそれを元にした巧妙な書類偽造を提案した。

カリュカとローエンの悲痛な――犯罪者にはなりたくないという――訴えはきっぱりさっぱり無視された。


この件は、のちに国家的偽装密入国事件として発覚するが、それはまた別の話。





多少の後ろめたさを振り払って入国した城塞都市トレドマドは、午後だというのに全ての市場が開かれ、盛況な様相を呈していた。

建国記念日の週だということで、いまトレドマドはお祭りの真っ最中なのである。


一隊は一時解散することになった。ローエンは馬車の留まれる宿の手配を、ラヤロップは悪人の粛正を。

アルシャマとカリュカは武器屋に行くことになった。





いつの間にかダーバンの中に小銭(紙幣)を貯め込んでいたアルシャマは、武器屋ですらりと長い曲剣〔シミター〕を買った。カリュカはナイフを買ってもらった。

理由はアルシャマ曰わく「いつまでも非武装の足手まといだと困るから」

カリュカは買ってもらって嬉しい気持ちと、貶されて怒れる気持ちとがごちゃまぜになって、複雑な気持ちだった。

「アルシャマ殺す」そう呟くも、声にいつもの元気はない。


ここはマレタ(地底)。地上を遠く離れ、家族同然の不死教団も今は遥かにありにけり。

暗殺者として殺すはずだったアルシャマとこうして旅し、あまつさえ武器を買ってもらう有り様である。涙目にもなる。


何より、カリュカはまだ幼い女の子なのであった。

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