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27決闘1位 秋山瑠奈

 まったく……まさか生徒会室にあんな凄いものがあっただなんて。梨乃や万桜にも話したいけど、ダメって言われているしな~……やっぱり話しちゃいけないのか。


 両手を頭の上に置きながら呑気に歩いていると――


 ドテっ!


「うわっ」


「きゃぁ!」


 廊下の曲がり角で不意に誰かとぶつかり、バランスを崩しそうになるがなんとか耐える。


 が、僕ではない相手の方は姿勢を崩して後ろに倒れ込んでしまった。


「だ、大丈夫?」


 急いで手を伸ばす僕。


「ええ……大丈夫よ」


 僕の手を取って起き上がる女子生徒。

 彼女はスカートについた誇りを両手で払う。

キリッとした目つきに白い肌。スラッとした女優のような体型に髪はホワイトブルーの腰まで伸びるロングストレート。セーラー服のスカーフを見る感じ、僕と同じ学年のようだ。どこか近寄りがたい雰囲気を持った彼女は、僕の前に立ってその美形を見せてきた。


 うわぁ! なんだこの人……可愛いというよりクールというか、うん、まさに女優だ!


 僕の知っている限りでは、彼女は確か生徒会副会長のはずだ。


「あなた、生徒会室に何しに来たのかしら?」


 怪訝な顔で僕を見つめる生徒会副会長。


「あ、いや、ちょっと椋夜に用事があってね……」


 額に汗を滲ませながらそう答える。


「椋夜先輩? あぁ、あなた神北君ね?」


「うん」


 おや、僕の名前を知っているのか。椋夜の幼なじみだから? そういうことにしておこう。


「そう、私は秋山瑠奈。あなた多分私のことそんなに知らないでしょ? その動揺っぷり、見てて面白いわよ」


 ど、動揺? 動揺しているのか僕……自分が動揺していることすら気づかなかったなんて、僕はどうかしてるのかな?


 というかまさかの知らない前提で進んじゃうんだ……まぁ名前は知ってたけど話したことがないから何とも言えないんだけど……。


 僕はこめかみを掻きながら苦笑いをする。


 でも、動揺するのは当たり前だ。僕はあまり多数の女の子と話さないんだから。話したとしても幼なじみの梨乃と男口調の万桜くらいだ。


 あ、万桜男や!


「それで? 用は済んだの?」


 左腕を腰に当てながら首をかしげる秋山さん。

 長いサラサラな髪が揺れ、せっけんのいい香りが漂う。


「う、うん、用なら済んだよ」


「そう、それは良かったわ」


 ひとつ頷き、歩き出そうとした秋山さんが、僕の横を通った途端、急に動きを止めてこちらを振り向いた。


「?」


「あら? あなた……」


 目を細めて僕へと顔を近づけ始めた秋山さん。

 え? な、なに?

 近づかれる事に少しずつ後方へと下がる僕。だが、真後ろが壁であり、すぐさま身動きができなくなってしまう。


 彼女の唇に目がいってしまう。

 カァ……一瞬のうちに頬が赤くなるのを感じ、僕は目を逸らした。

 やばい、なんなのさいきなり……

 その唇が僕の顔の眼前まで来たところで、彼女は動きをピタッと止めた。


「?」


「これ」


 そう言って、僕と秋山さんの顔の間に何かを挟ませるように手のひらに持っているものを差し出してきた。


「そ、それは?」


 ふぅ……

 腕の代わりに顔を引っ込める秋山さん。緊張したような、でも少し期待していたような僕はひとつ息を吐いて心を落ち着かせる。


「あなたの襟元に付いてたのよ? あなたのじゃないの?」


 そう言われ、改まってその手に乗っているものを確認する。

 なんだろう? 丸くてステルス・ファクトみたいな形をしているけど、色重さと全然違うものだ。


 中心は透明で、中では一点だけが赤く光っている部分がある。


「こんなもの、僕は知らない。多分間違って持ってきたんじゃないかな?」


「襟の中に?」


「襟?」


 秋山さんが微笑する。


「そうよ、あなたの襟にずっとついてたわ」


 襟の中に誤って持ってくるってどんだけ僕は馬鹿なんだ?


「あ、いや、おかしいね」


 アハハハハ……もう笑うしかないよ。


「そう、あなたのものではないみたいね。じゃあ、これは生徒会で預かることにします」


 そう言って、手元の物体を自分のポケットにしまい、生徒会室へと歩き去っていく秋山さん。


 僕はそれを見て思った。


「か、格好良い!」


 秋山さんみたいな格好良い女の子は憧れるよね。男の僕でもとても見習いたくなってくる。


 そう思いながら、僕は誰もいない廊下を歩きだした。


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