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18僕の順位

 今の僕らは8位までの人とは闘えない。LVが2なので、LV5の人までとしか闘えないんだ。


「皆ものすごく決闘をやっているな」


「そうだね、LV6以上の人は勝ち組だよ」


「私たちって……今、ざことおんなじなんじゃない?」


 梨乃……分かっていてもそれだけは言ってほしくなかったよ……

 僕は両手で頭を押さえて悲しみを背負う。


「そういうことだ。ちなみに自分の順位がこのベスト50までに表示されてなかったら」


 椋夜が携帯電話を取り上げ、僕らに画面を向けながら指で画面を横にスライドさせた。


 スルッ


 ランキングの画面は横を通って画面から消え、変わりに自分の順位とLVが表示された。


「こうやってスライドさせることで、自分の順位を知ることができる」


 なるほどなるほど。僕も携帯電話を取り出して、赤外線通信をしたあと、椋夜がやったようにランキング画面を開く。

 おお、出来た! ランキングを見ることができたぞ!


「よし、ランキングの見方が分かった!」


 僕は拳を握り、声を上げながらガッツポーズをとった。



{馳優は、ランキングの見方を覚えた}



 途端にBGMでおかしな音楽とともに何かが出てきた気がするが、気にしない気にしない。


「一度でもステルス・ファクトの情報を携帯に送ると、これからは自動更新されるから、もう携帯を近づける必要はないぞ」


 なんと素晴らしい機械なんだ。ステルス・ファクト最高っ!

 僕は、ランキングに自分の順位が映ってないのを見てから、携帯の画面を指でスライドさせて、自分の順位を見てみる。



(100位 神北馳優 LV2)



 すっご! なにこれ、いろんな意味ですごいんですけど。

 僕はテストで100点を取った時のような気持ちで小躍りを始める。


「ち、ちゆう……おかしくなった?」


「……え?」


 僕の小躍りを見て、梨乃が眉間にしわを寄せる。



{梨乃が一緒に踊りたいようだ}



 またおかしなBGMとともに、文字が出てきた気がするが……ボクトオドリタイノカナ?


「梨乃、僕とオドリタイノ?」


 カタカナの部分だけを棒読みで言いながら、足踏みをして梨乃に手を差し伸べる。


「誰が踊るかバカ!」


 ヘシッ!


 梨乃の振り降ろされた手が、僕の手に当たることもなく卓袱台に振り下ろされ、思いきり卓袱台を叩いた。


 ドンッ!


「いたぃっ!」


 卓袱台に音を立てて当たった途端、あまりの痛さに手を引っ込めてうずくまる梨乃。


 まぁ、そうなるだろうね。


「相変わらず、お前ら二人になると騒がしくなるな」


 万桜がそう言って梨乃の頭を撫でる。

 二人になったら騒がしくなるって……そうなのかな?

 なんだか頭を撫でられている梨乃が妙に可愛い気がするんだが、その前に


「お、お姉さん?」


 万桜の、お姉さんのようなその姿を見て思わず口に出してしまった。


「馬鹿か、オレは男だ!」



{万桜はまた一歩、女性の道を進んだ}



 またまたおかしなBGMと一緒に変な言葉が――って、凄いよ万桜! また一歩前進したんだね。それがいいことなのかは僕には分からないけど。


 というか、さっきからどこから鳴ってるんだ? もう出てこなくていいんですけど!


「さて、ランキング内容も教えたし、そろそろ俺は学校に向かうぞ?」


 そう言って、椋夜が卓袱台から立ち上がる。


「あ、今日も生徒会だっけ?」


「ああ」


 生徒会か……最近というか決闘を始めてからというか、よく生徒会に行くもんだな。決闘は生徒会と何か関係しているのだろうか?

 生徒会とは縁がない僕だが、一体何をしているのかくらいは気になる。聞かないけどね。


「そういえば、あのランキング一位の人、生徒会の人じゃなかった?」


 手元の携帯のランキングを見ながら言う。


「そうだ。お前らと同学年の秋山瑠奈、生徒会副会長だ!」


 そんなに声を強くして言わなくても……


 でも、生徒会副会長は女の子だったはず。女の子が決闘で一位を取るなんて、相当すごい人なんだな。今度暇があったら生徒会室にでも寄って会ってこようかな?

 お、生徒会に行く予定が早決まったぞ?


「じゃあ先に行くからな、遅刻すんなよ? 生徒会長命令だ」


 足元に置いているカバンを手に取って、部屋を出ていく椋夜。

 別にいつも遅刻してないから問題ないんだけど、あの言い方だとまるで僕たちがいつも遅刻しているような言い方じゃないか!


「馳優よ」


 椋夜が部屋を出た後、梨乃は小説を手に気持ちよさそうに寝始め、万桜は僕に話しかけてきた。


「なに?」


「梨乃が寝てしまったぞ」


「え、あ、うん」


 見れば分かる。


 というかグッスリだ。気持ちよさそうな可愛らしい寝顔。どうして女の子はこうも可愛いんだろうか? 少し開いているピンクの色をした唇に手を触れさせたいほどだ。


「馳優、欲望を抑えろ!」


 よ、欲望?

危ない危ない。僕はなに幼なじみを見て欲望なんて……


 僕は頭を左右に振りながら立ち上がる。


「どうした?」


「時間も時間だし、そろそろ学校に行こうか」


 時刻はもう8時過ぎ。なんなら椋夜と一緒に行けばよかったな。


「万桜、梨乃を起こしてあげて」


「いや、何故オレなんだ?」


 なぜって、決まっているじゃないか。何を言っているんだ万桜は?


「女の子同士だからに決まってるじゃないか」


 静かな声で正論を言ってあげる。


「いや、だからオレは男だって言ってるだろ!」


 万桜の大声なんか耳にせず、僕は部屋へと自分のカバンを取りに向かった。


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